「マネジメントレター」は当事務所が関与先企業に毎月レター(手紙)としてお送りしているものです。
既知のものも多くありますが、当方がその時々に経営者・社員の皆様にお伝えしたいことをテーマにしています。
*掲載の内容等について、当方が保証、責任を負うものではありませんことをご承知おきください
2025年3月18日現在
相続税の納付は、納期限等までに金銭で一括納付することが原則です。
ただし、納期限等までに金銭で一時に納付することが困難な場合には、その困難な金額を限度として、一定の要件の下で、年賦による分割納付(延納)ができます。
延納によっても金銭で納付することが困難な場合には、その困難な金額を限度として、一定の要件の下で、相続財産による納付を行うこと(物納)ができます。
物納申請税額の算定は以下のようになります。
国税庁:相続税の物納の手引きをもとに
スタート・・ 納付すべき相続税額①
Ⅰ現金納付額⑤ = 下表の(②-③-④)
② | 納期限において有する現金、預貯金その他の換価が容易な財産の価額に相当する金額 |
③ | 本人及び生計を一にする配偶者その他の親族の3か月分の生活費 |
④ | 本人の事業継続のため当面(1か月分)必要な運転資金(経費等)の額 |
Ⅱ延納することができる金額(延納許可限度額)⑥ = 上記の ①-⑤
Ⅲ物納することができる金額(物納許可限度額) = 下表の(①-②-⑩)
① | 納付すべき相続税額 (上記のスタートの額) |
② | 現金納付額(上記1の⑤) |
③ | 年間の収入見込額 |
④ | 本人及び生計を一にする配偶者その他の親族の年間の生活費 |
⑤ | 本人の事業の継続のために必要な運転資金(経費等)の額 |
⑥ | 年間の納付資力(③-④-⑤) |
⑦ | おおむね1年以内に見込まれる臨時的な収入 |
⑧ | おおむね1年以内に見込まれる臨時的な支出 |
⑨ | 上記の③及び④ |
⑩ | 延納によって納付することができる金額 { ⑥×最長延納年数 + (⑦-⑧+⑨)} |
*R7年度税制改正において、物納許可限度額の計算の基礎となる延納年数は納期限等における申請者の平均余命の年数を上限とする等の見直しが予定されています
2025年2月19日現在
令和7年度税制改正案では、 ①給与所得控除の最低額の65万円への引上、 ② 特定親族特別控除の創設、③扶養親族の所得要件の58万円への引上が予定されています。
これらの案が成立すると、 例えば20才の大学生の子がバイトをしている場合、 お父さんの扶養控除等は、子の所得に応じて下図のようなイメージになります。
2025年1月23日現在
2024年11月1日に、特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(いわゆるフリーランス法)が施行されました。
事業者は、該当する取引があるかないかをチェックし、該当取引がある場合は、委託する側もしくは受託する側それぞれが対応を確認しておくべきです。
以下は、公正取引委員会作成のリーフレットより抜粋・編集しています。
義務項目 | 具体的な内容 |
① 書面等による取引条件の明示 | 業務委託をした場合、書面等により、直ちに、「業務の内容」「報酬の額」「支払期日」等の取引条件を明示する |
② 報酬支払期日の設定・期日内の支払 | 発注した物品等を受け取った日から60日以内のできる限り早い日に報酬支払期日を設定し、期日内に報酬を支払う |
③ 禁止行為 | フリーランスに対し、1か月以上の業務委託をした場合、次の7つの行為をしてはならない ●受領拒否 ●報酬の減額 ●返品 ●買いたたき ●購入・利用強制 ●不当な経済上の利益の提供要請 ●不当な給付内容の変更・やり直し |
④ 募集情報の的確表示 | 広告などにフリーランスの募集に関する情報を掲載する際に、虚偽の表示や誤解を与える表示をしてはならず、また、内容を正確かつ最新のものに保たなければならない |
⑤ 育児介護等と業務の両立に対する配慮 | 6か月以上の業務委託について、フリーランスが育児や介護などと業務を両立できるよう、フリーランスの申出に応じて必要な配慮をしなければならない |
⑥ ハラスメント対策に係る体制 整備 | フリーランスに対するハラスメント行為に関し、ハラスメントを行ってはならない旨の方針の明確化、方針の周知・啓発など、一定の措置を講ずること |
⑦ 中途解除等の事前予告・理由 開示 | 6か月以上の業務委託を中途解除したり、更新しないこととしたりする場合は、原則として30日前までに予告しなければならず、また、予告の日から解除日までにフリーランスから理由の開示の請求があった場合には理由の開示を行わなければならない |
*文中の「フリーランス」は、この法律における「特定受託事業者」のことで、『業務委託の相手方である事業者で、従業員を使用しないもの』をいいます
*表の義務項目は、発注事業者の従業員使用の有無やフリーランスへの業務委託の期間等により、適用範囲が異なります
2024年11月6日現在
カスハラについての話題が多くなっています。以下は、厚生労働省が令和4年に公表した「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」からの抜粋です。
『本マニュアルでのカスタマーハラスメント』
顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるもの
『カスタマーハラスメント対策の基本的な枠組み』
<カスタマーハラスメントを想定した事前の準備>
① 事業主の基本方針・基本姿勢の明確化、従業員への周知・啓発
② 従業員(被害者)のための相談対応体制の整備
③ 対応方法、手順の策定
④ 社内対応ルールの従業員等への教育・研修
<カスタマーハラスメントが実際に起こった際の対応>
⑤ 事実関係の正確な確認と事案への対応
⑥ 従業員への配慮の措置
⑦ 再発防止のための取組
⑧ ①~⑦までの措置と併せて講ずべき措置
クレームの初期対応は、対応者が現場対応者か電話受付対応者かなどにより、内容が異なりますが、例えば現場での対応の場合の留意のポイントとして以下のような項目が挙げられています。
2024年10月7日現在
法人が役員等に対して、金銭ではなく、物などの経済的利益を与えた場合、法人税においては原則として「給与」として扱われます。
なぜかというと、その経済的利益は実質的に給与が支給されたのと同じような経済的効果があるからです。
経済的利益とされるものには、次のようなものがあります。
2024年9月12日現在
国税関係の一般的な機構を税務署を中心にみると下図のようになっています。
部署とその範囲を確認しておきましょう。(国税庁HPより抜粋、作成)
2024年8月7日現在
相続税の取扱上、配偶者が取得したものについては、「配偶者の税額軽減」という軽減措置が設けられています。
長年にわたり共同で生活が営まれたことへの配慮、残された配偶者のその後の生活の保障などの観点から措置されているものです。
この税額軽減の計算の基礎となる財産には、相続税の申告期限までに分割されていない財産は含まれないことになっています。
ただし、その分割されていない財産が申告期限から三年以内に分割された場合など一定の場合には適用を受けることが可能です。
計算の基礎となる財産は、具体的には次のものが該当します。
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2024年7月15日現在
事業承継税制には、一般措置の他、特例措置が設けられています。その概略の比較です。
2024年6月6日現在
定額減税は給与所得者だけでなく、事業所得者等にも適用されます。
手続きについて確認しておきましょう。
『原則』
令和6年分の所得税の確定申告(令和7年1月以降)の際に控除
『予定納税の対象となる人』
○本人分の控除
第1期分予定納税額(7月)から控除
○同一生計配偶者、扶養親族分の控除
予定納税額の減額申請により控除
*第1期分予定納税額から控除しきれない場合は、
第2期分予定納税額(11月)から控除
以上に伴い、令和6年分の所得税に係る予定納税については、納期や減額申請の期限に一部変更があります
項目 | 変更後 | 変更前 |
第1期分の納期 | 令和6年7月1日(月)から9月30日(月)まで | 令和6年7月1日(月)から31日(水)まで |
第1期分及び第2期分の予定納税額の減額申請の期限 | 令和6年7月31日(水) | 令和6年7月15日(月) |
項目 | 期限等 |
第2期分の納期・・変更なし | 令和6年11月1日(金)から同年12月2日(月)まで |
第2期分のみの予定納税額の減額申請の期限・・変更なし | 令和6年11月15日(金) |
2024年5月17日現在
法人の業務を遂行する上で、お客様を接待することがあります。
例えば、①レストランで食事をごちそうする、②ゴルフをしてお客様のプレー代をもつ、③お客様訪問時に手土産を持って行く、などです。
法人税では、交際費等の額は損金不算入(税務上の経費と認められない)が原則です。
ただし、一定の範囲内で税務上損金算入(税務上の経費と認められる)されます。
資本金が1億円以下の法人の場合(例外あり)は、次のいずれか多い金額が限度です。
(1)接待飲食費の50%相当額 (2)800万円×月数/12 |
(1)は「飲食費」ですので、上記①が該当しますが、②は該当しません。
③は、品物としては「食べ物や飲み物」のこともありますが、「飲食」ではないので該当しません。
(2)はすべての交際費なので、①~③とも該当します。
さて、接待飲食費ですが、喫茶店でコーヒーを飲みながら打合せをしたというような場合は、そもそも「税務上の交際費」に該当しません。
この判定として、飲食代金が1人あたり1万円以下(令和6年3月までは5千円)の場合は交際費から除かれますので、「会議費」等として処理できます。
また、「1万円以下」かどうかの判定ですが、自社の消費税の経理方式により異なります。
自社が「税込経理」の場合は、支出した飲食代金の消費税込みの金額、「税抜処理」の場合は、消費税抜きの金額で判定します。
さらに飲食した店がインボイスを発行しているか否かによって、店に支払った代金の中に含まれる消費税額とされる金額が異なります。
今回の金額基準の改正を機に、社内の規程を見直してみるのも良いでしょう。
2024年4月20日現在