「マネジメントレター」は当事務所が関与先企業に毎月レター(手紙)としてお送りしているものです。
既知のものも多くありますが、当方がその時々に経営者・社員の皆様にお伝えしたいことをテーマにしています。
*掲載の内容等について、当方が保証、責任を負うものではありませんことをご承知おきください
法人の各事業年度開始の日前十年以内に開始した事業年度において生じた青色欠損金は、各事業年度の損金に算入することとされています。
欠損金が生じた年度からみると、翌年以降10年間で控除しきれない場合は期限切れとなります。
ただし、法人が解散した場合で、残余財産がないと見込まれるときは、その清算中に終了する事業年度前の各事業年度において生じた欠損金額を基礎として計算した一定の金額は、適用年度の損金の額に算入されます。
【残余財産がないと見込まれるかどうかの判定の時期】
法人の清算中に終了する各事業年度終了の時の現況によります。
【残余財産がないと見込まれるときとは?】
解散した法人が事業年度終了の時において債務超過の状態にあるときは、「残余財産がないと見込まれるとき」に該当します。
【残余財産がないと見込まれることを説明する書類】
この取り扱いは、申告書に残余財産がないと見込まれることを説明する書類等一定の書類の添付がある場合に限り適用されます。
「残余財産がないと見込まれることを説明する書類」とは、例えば、法人の清算中に終了する各事業年度終了の時の実態貸借対照表(法人の有する資産及び負債の価額により作成される貸借対照表)をいいます。
実態貸借対照表を作成する場合における資産の価額は、事業年度終了の時における処分価格によります。
ただし、法人の解散が事業譲渡等を前提としたもので法人の資産が継続して他の法人の事業の用に供される見込みであるときには、その資産が使用収益されるものとしてその事業年度終了の時において譲渡される場合に通常付される価額によります。
2025年11月10日現在
【教育訓練休暇給付金とは】
労働者が離職することなく教育訓練に専念するため自発的に休暇を取得して仕事から離れる場合、その間の生活費を保障するため賃金の一定割合が支給されます。
【支給対象者】 ・・以下の①、②のいずれも満たす者
①休暇開始前2年間に12か月以上の被保険者期間があること
(原則、賃金の支払いの基礎となった日数が11日以上ある月が算定対象)
②休暇開始前に5年以上、雇用保険に加入していた期間があること
(一定の場合、通算できない期間が発生することがあります)
【受給期間・給付日数・給付日額】
〇受給期間 ・・休暇開始日から起算して1年間
・教育訓練休暇を取得した日について給付(休暇を複数回に分割して取得も可)
〇給付日数
| 雇用保険加入期間 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
|---|---|---|---|
| 所定給付日数 | 90日 | 120日 | 150日 |
〇給付日額 ・・原則、休暇開始日前6か月の賃金日額に応じて算定
<支給額のイメージ>
| 額面月収 | 給付月額 |
|---|---|
| 250,000円 | 約170,000円 |
| 350,000円 | 約195,000円 |
| 450,000円 | 約225,000円 |
【支給対象となる休暇】・・以下の全てを満たす休暇
①就業規則や労働協約等に規定された休暇制度に基づく休暇
②労働者本人が教育訓練を受講するため自発的に休暇を取得することを希望し、事業主の承認を得てする30日以上の無給の休暇
③次の教育訓練等を受けるための休暇
・学校教育法に基づく大学、大学院、短大、高専、専修学校または各種学校が提供するもの
・教育訓練給付金の指定講座を有する法人等が提供するもの
・職業に関する教育訓練として職業安定局長が定めるもの
(司法修習、語学留学、海外大学院での修士号の取得等)
2025年10月8日現在
会社が負担した従業員レクリエーション旅行の費用が参加した人の給与として課税されることがあります。課税されるかどうかは、その旅行の内容を総合的に勘案して判定します。
【給与としなくても良い場合】
旅行の内容(*1)を総合的に勘案して、社会通念上一般に行われているレクリエーション旅行と認められるもの
その旅行によって従業員に供与する経済的利益の額が少額不追求(*2)の趣旨を逸脱しないもの
*1 旅行の企画立案、主催者、旅行の目的・規模・行程、従業員等の参加割合・使用者及び参加従業員等の負担額及び負担割合など
*2 少額の現物給与は強いて課税しないという考え方
なお、その旅行による従業員の経済的利益の額が少額不追求の趣旨を逸脱しないものであると認められ、かつ、その旅行が次のいずれも満たすものであるときは、原則として、その旅行の費用を旅行に参加した人の給与としなくてもよいとされています。
(1) 旅行の期間が4泊5日以内であること
*海外旅行の場合は、外国での滞在日数が4泊5日以内
(2) 旅行に参加した人数が全体の人数の50パーセント以上であること
上記の参加割合ですが、50%未満である旅行について「課税しなくて差し支えない」とされる以下のような例が国税庁のタックスアンサーに掲載されています。
個別の事案が同様に扱われるか否かは分かりませんが、参考になるかと思います。

2025年9月19日現在
令和7年度税制改正では、特定親族特別控除が創設されました。
これにより例えば、大学生年代の子がアルバイトしている場合、その子の給与の収入が123万円超150万円以下であれば、親は63万円(所得税の場合)の控除が適用されます。
(子の給与の収入が188万円までは逓減された額)
これを受けて、健康保険の被扶養者の認定に係る年間収入の要件が、130万円未満から150万円未満になります・・令和7年10月1日から適用
【 19歳以上23歳未満である認定対象者の年間収入に係る認定要件等 】
| 認定対象者が被保険者と同一世帯に属している場合 | 認定対象者が被保険者と同一世帯に属していない場合 |
| 認定対象者の年間収入が150万円未満、かつ、被保険者の年間収入の1/2未満の場合・・原則として被扶養者に該当 (上記に該当しない場合) 認定対象者の年間収入が150万円未満、かつ、被保険者の年間収入を上廻らない場合・・世帯の生計の状況を総合的に勘案して、被保険者がその世帯の生計維持の中心的役割を果たしていると認められるときは、被扶養者に該当するものとして差し支えない | 認定対象者の年間収入が、150万円未満、かつ、被保険者からの援助による収入額より少ない場合 ・・原則として被扶養者に該当 |
*学生であることの要件はなく、年齢(その年の12月31日現在)によって判断します
*年間収入は、認定対象者の過去の収入、現時点の収入又は将来の収入の見込みなどから、今後1年間の収入を見込むこととされています
上記の図により被扶養者の認定を行うことが実態と著しくかけ離れたものとなり、かつ、社会通念上妥当性を欠くこととなると認められる場合は、具体的事情に照らし最も妥当と認められる認定を行うものとされます
2025年8月7日現在
7月1日に令和7年分路線価が公表され、銀座鳩居堂前は4,808万円と過去最高となりました。 ・・40年連続で全国の最高路線価
相続対策の一環として、個人所有の土地を同族法人に貸し、その敷地上に賃貸物件を建築することがあります。
個人と法人との間の土地の賃借関係については、「権利金方式」「相当の地代方式」「無償返還方式」などがあります。

このうち、無償返還方式によっている場合の相続税評価額は以下のようになります。
【借地権】
借地権の価額は、零として取り扱われます。
【貸宅地】
貸宅地の価額は、自用地評価額の80%相当額になります。・・20%減額
ただし、被相続人が同族関係者となっている同族会社に対し土地を貸し付けている場合、その同族会社の株式の評価をするときは、自用地評価額の20%相当額が純資産価額に算入されます。
また、使用貸借に係る土地について無償返還届出書が提出されている場合のその土地に係る貸宅地の価額は、自用地としての価額によって評価されます。
2025年7月19日現在
年金の制度を改正する法律が、2025年6月13日に成立しました。
パートさんから年金を受給しながら勤務している人まで、様々な働き方に影響する改正が予定されています。

2025年6月18日現在

2025年5月12日現在
令和7年度税制改正法案が3月31日に成立しました。
いわゆる年収の壁に関しては、今後『160万円』なる数字が1人歩きしてしまうかも知れません。
例えば、『年収160万円までは税金はかかりません』のように。
しかしながら、所得税が発生するかどうかの判断において、「160万円」とは規定されていません。
会社勤めをしていて『給与収入が160万円』の場合、給与収入の額から給与所得控除65万円が差し引かれ、控除後の金額(給与所得といいます)は95万円になります。
この95万円から、下表の基礎控除が95万円控除される結果、課税対象は0となります。
その人の収入の種類が給与でない場合は計算が異なり、合計所得金額が下表の基礎控除額以下であれば税負担は発生しません。
『160万円』では判定できないことになります。
また、『本人に所得税が発生するかどうか』と、『配偶者や親の控除の対象となるかどうか』はそれぞれ分けて考える必要があります。
より複雑になりましたので、取扱と家族の状況をよく確かめる必要があります。
「基礎控除の額」
・・「所得」金額が左欄の区分に該当する行の基礎控除額欄
*給与収入のみある人の場合は、「給与収入」を右欄の区分に該当する行でみても可

2025年4月15日現在

2025年3月18日現在
相続税の納付は、納期限等までに金銭で一括納付することが原則です。
ただし、納期限等までに金銭で一時に納付することが困難な場合には、その困難な金額を限度として、一定の要件の下で、年賦による分割納付(延納)ができます。
延納によっても金銭で納付することが困難な場合には、その困難な金額を限度として、一定の要件の下で、相続財産による納付を行うこと(物納)ができます。
物納申請税額の算定は以下のようになります。
国税庁:相続税の物納の手引きをもとに
スタート・・ 納付すべき相続税額①
Ⅰ現金納付額⑤ = 下表の(②-③-④)
| ② | 納期限において有する現金、預貯金その他の換価が容易な財産の価額に相当する金額 |
| ③ | 本人及び生計を一にする配偶者その他の親族の3か月分の生活費 |
| ④ | 本人の事業継続のため当面(1か月分)必要な運転資金(経費等)の額 |
Ⅱ延納することができる金額(延納許可限度額)⑥ = 上記の ①-⑤
Ⅲ物納することができる金額(物納許可限度額) = 下表の(①-②-⑩)
| ① | 納付すべき相続税額 (上記のスタートの額) |
| ② | 現金納付額(上記1の⑤) |
| ③ | 年間の収入見込額 |
| ④ | 本人及び生計を一にする配偶者その他の親族の年間の生活費 |
| ⑤ | 本人の事業の継続のために必要な運転資金(経費等)の額 |
| ⑥ | 年間の納付資力(③-④-⑤) |
| ⑦ | おおむね1年以内に見込まれる臨時的な収入 |
| ⑧ | おおむね1年以内に見込まれる臨時的な支出 |
| ⑨ | 上記の③及び④ |
| ⑩ | 延納によって納付することができる金額 { ⑥×最長延納年数 + (⑦-⑧+⑨)} |
*R7年度税制改正において、物納許可限度額の計算の基礎となる延納年数は納期限等における申請者の平均余命の年数を上限とする等の見直しが予定されています
2025年2月19日現在
令和7年度税制改正案では、 ①給与所得控除の最低額の65万円への引上、 ② 特定親族特別控除の創設、③扶養親族の所得要件の58万円への引上が予定されています。
これらの案が成立すると、 例えば20才の大学生の子がバイトをしている場合、 お父さんの扶養控除等は、子の所得に応じて下図のようなイメージになります。
2025年1月23日現在