~これまでとこれから~(税制改正の履歴)

 税制改正は、「××年度税制改正」のように「年度」ごとで説明されることが多くあります。ただし、その取り扱いはある年度だけではなく、その後何年も続くものがほとんどです。また、ある年度で改正されることとなっても実際に適用されるのは翌年からということもあります。このようなことから税制改正を年度ごとに区切るのではなく、「流れ」としてとらえることが大切だと思います。
 そこでこのページでは税制改正の「これまで」の履歴を見ることで、「これから」を考えることができたらと思います。従って、過年度のものも載せております。

 *記載の内容は改正年当時のものですので現行では取り扱いが変更されているものもありますのでご留意ください
 *記載している項目は、中小企業や一般生活者に関連のある主なものです

2023年2月号・・生前贈与の相続税への加算期間(改正案)

 令和5年度税制改正(案)では、いわゆる生前贈与の相続税への加算期間の見直しが予定されています。
 この2年ほど「駆け込み贈与のチャンスはあと何回」などといろいろ話題になっていましたが、改正の概略が明らかになりました。

 相続等により財産を取得した人が、相続開始前7年以内(改正前:3年以内) に被相続人から贈与により財産を取得したことがある場合には、その贈与により取得した財産の価額を相続税の課税価格に加算することとされます。
 加算が延長された4年分については、合計額から100万円を控除した残額が加算されます。
 令和6年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る相続税について適用されますので、段階的に加算される期間が長くなります。

暦年課税のイメージ

2023年1月20日現在

2024年度税制改正(案)の主要項目

2023年12月14日に与党の令和6年度税制改正大綱が公表されました
主立ったものは以下の通りです

個人所得課税

○所得税・個人住民税の定額減税
令和6年分の所得税及び住民税について、定額の税額の特別控除を行う


所得税
住民税
本人分
(令和6年分の合計所得金額が1,805万円以下である場合に限る)

3万円


1万円

同一生計配偶者又は扶養親族
(居住者に限る)
1人につき
3万円

1人につき

1万円

 *今回の特別控除の緊要性に鑑み、財務省・国税庁は、法案の国会提出前であっても、制度の詳細についてできる限り早急に公表するとともに、源泉徴収義務者向けのパンフレットの作成等広報活動を開始し、給付金担当を含む関係省庁や地方公共団体ともよく連携しながら、制度の趣旨・内容等について、丁寧な周知広報を行うこと

○子育て支援に関する政策税制・・住宅ローン控除
年齢40歳未満であって配偶者を有する者、年齢40歳以上であって年齢40歳未満の配偶者を有する者又は年齢19歳未満の扶養親族を有する者が、「認定住宅等の新築等」をして令和6年1月1日から同年12月31日までの間に居住の用に供した場合の住宅借入金等の年末残高の限度額(借入限度額)を次のとおりとする

住宅の区分
借入限度額
認定住宅

5,000万円

ZEH水準省エネ住宅

4,500万円

省エネ基準適合住宅

4,000万円

○国民健康保険税の後期高齢者支援金等課税額
課税限度額を24万円(現行:22万円)に引き上げる

資産課税

○土地に係る固定資産税等の負担調整措置

  • 宅地等及び農地の負担調整措置については、令和6年度から令和8年度までの間、商業地等に係る条例減額制度及び税負担急増土地に係る条例減額制度を含め、現行の負担調整措置の仕組みを継続する
  • 据置年度において簡易な方法により価格の下落修正ができる特例措置を継続する

○直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置適用期限を3年延長する

○特定の贈与者からの住宅取得等資金贈与に係る相続時精算課税制度の特例適用期限を3年延長する

○不動産の譲渡に関する契約書等に係る印紙税の税率の特例措置適用期限を3年延長する

○新築住宅に係る固定資産税の税額の減額措置適用期限を2年延長する

○宅地の取得に係る不動産取得税の課税標準を価格の2分の1とする特例措置適用期限を3年延長する

○住宅及び土地の取得に係る不動産取得税の税率(本則4%)を3%とする特例適用期限を3年延長する

法人課税

〇構造的な賃上げの実現
 中小企業向けの措置について、次の見直しを行い、控除限度超過額は5年間の繰越しができることとした上、その適用期限を3年延長する
 『税額控除率に10%を加算する措置』
  教育訓練費の額の比較教育訓練費の額に対する増加割合が5%以上であり、かつ、教育訓練費の額が雇用者給与等支給額の0.05%以上
 『税額控除率に5%を加算する措置』
  当期がプラチナくるみん認定若しくはプラチナえるぼし認定を受けている事業
  年度又はくるみん認定若しくはえるぼし認定(2段階目以上)を受けた事業年度である場合
   *繰越税額控除制度は、繰越税額控除をする事業年度において雇用者給与等支給額が比較雇用者給与等支給額を超える場合に限り適用

○交際費等の損金不算入

  • 損金不算入となる交際費等の範囲から除外される一定の飲食費に係る金額基準を1人当たり1万円以下(現行:5,000円以下)に引き上げる
     *令和6年4月1日以後に支出する飲食費について適用
  • 接待飲食費に係る損金算入の特例及び中小法人に係る損金算入の特例の適用期限を3年延長する

消費課税

〇プラットフォーム課税の導入
 国外事業者がデジタルプラットフォームを介して行う電気通信利用役務の提供(事業者向け電気通信利用役務の提供に該当するものを除く)のうち、特定プラットフォーム事業者を介してその対価を収受するものについては、特定プラットフォーム事業者が行ったものとみなす。

2023年12月20日現在

2023年度税制改正(案)の主要項目

2022年12月16日に与党の税制改正大綱が公表されました

個人所得課税

○NISA

・非課税保有期間を無期限化するとともに、口座開設可能期間については期限を設けず、NISA制度を恒久的な措置とする


改正前 改正後
つみたてNISA
投資上限額
年間40万円 「つみたて投資枠」
年間120万円
一般NISA 年間120万円 「成長投資枠」
年間240万円
非課税限度額
1,800万円
内、成長投資枠1,200万円
併用
「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の併用可能に

*現行の一般NISA及びつみたてNISAについては、令和5年末で買付を終了するが、非課税口座内にある商品については、新制度における非課税限度額の外枠で現行の取扱いを継続

○極めて高い水準の所得に対する負担の適正化

(基準所得金額-3億3,000万円)×22.5% > 基準所得税額の場合、超える金額に相当する所得税を課する措置を講ずる
 *令和7年分以後の所得税について適用


○国民健康保険税の課税限度額について、後期高齢者支援金等課税額を、22万円(現行:20万円)に引き上げる


〇空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除
一定の見直しをした上、適用期限を4年延長する


○低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の100万円特別控除
一定の見直しをした上、適用期限を3年延長する

資産課税

○相続時精算課税

現行の基礎控除とは別途、課税価格から基礎控除110万円を控除できることとするとともに、特定贈与者の死亡に係る相続税の課税価格に加算等をされる特定贈与者から贈与により取得した財産の価額は、上記の控除をした後の残額とする


○相続時精算課税適用者が特定贈与者から贈与により取得した一定の土地又は建物が特定贈与者の死亡に係る相続税の申告書の提出期限までの間に災害によって一定の被害を受けた場合、相続税の課税価格への加算等の基礎となる土地又は建物の価額は、贈与の時における価額から災害によって被害を受けた部分に相当する額を控除した残額とする


○相続開始前贈与の相続税の加算期間等

 相続財産に加算する期間を、3年以内から7年以内に延長する
  *延長した期間(4年間)の贈与のうち、100万円は、加算しない
  *令和6年1月1日以後の贈与による財産に係る相続税について適用


○教育資金、結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税

一定の見直しをした上、適用期限を3年延長する


○直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税

一定の見直しをした上、適用期限を2年延長する

法人課税

〇中小企業技術基盤強化税制

増減試験研究費割合が9.4%を超える場合の特例を増減試験研究費割合が12%を超える場合に一定の取扱とするなどの見直しをし適用期限を3年延長する


○特別試験研究費の額に係る税額控除

対象となる特別試験研究費の額に、特別新事業開拓事業者との共同研究及び特別新事業開拓事業者への委託研究に係る試験研究費の額を加え、その税額控除率を25%とする

消費課税

〇消費税の適格請求書等保存方式の見直し

令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間において、免税事業者が適格請求書発行事業者となったこと又は課税事業者選択届出書を提出したことにより事業者免税点制度の適用を受けられないこととなる場合には、その課税期間における課税標準額に対する消費税額から控除する金額を、その課税標準額に対する消費税額に8割を乗じた額とする


○基準期間における課税売上高が1億円以下又は特定期間における課税売上高が5,000万円以下である事業者が、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの間に国内において行う課税仕入れについて、支払対価の額が1万円未満である場合には、一定の事項が記載された帳簿のみの保存による仕入税額控除を認める


○売上げに係る対価の返還等に係る税込価額が1万円未満である場合には、その適格返還請求書の交付義務を免除する


2022年12月20日現在

2022年度税制改正(案)の主要項目

個人所得課税

○住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除

  • 控除率を住宅ローン残高に対して0.7%と縮小する
  • 控除期間は原則として13年間に(住宅の種類及び居住年により10年)
  • 住宅ローンの年末残高の限度額を住宅の種類及び居住年により区分する
  • 適用対象者の所得要件を2,000万円以下に引き下げる


〇国民健康保険税の課税限度額について、基礎課税額は65万円、後期高齢者支援金等は20万円に引き上げる


〇個人住民税において、特定配当等及び特定株式等譲渡所得金額に係る所得の課税方式を所得税と一致させることとする

資産課税

○直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税

  • 非課税限度額を、耐震、省エネ、又はバリアフリーの住宅用家屋の場合は1,000万円、その他の住宅用家屋の場合は500万円とする
  • 受贈者の年齢要件を18歳以上に引き下げる

法人課税

○中小企業の所得拡大促進税制

 雇用者給与等支給額の増加割合が2.5%以上である場合は、税額控除率に15%を、教育訓練費の増加割合が10%以上である場合は10%を加算する


〇交際費の損金不算入制度について、適用期限を2年延長し、中小法人に係る損金算入の特例についても2年延長する


〇仮装隠蔽行為に基づき確定申告書を提出した、又は確定申告書を提出していなかった場合、一定の売上原価の額並びに費用の額等について損金不算入とする


〇少額の減価償却資産の取得価額の損金算入制度及び一括償却資産の損金算入制度について、貸付(主要な事業である場合を除く)の用に供したものを対象資産から除外する

消費課税

○消費税の適格請求書等保存方式の見直し

免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中に適格請求書発行事業者の登録を受ける場合には、登録日から適格請求書発行事業者となることができることとする


<今後改正が検討されそうな項目についての記述>

〇高所得者層において、所得に占める金融所得等の割合が高いことにより、所得税負担率が低下する状況がみられるため、これを是正し、税負担の公平性を確保する観点から、金融所得に対する課税のあり方について検討する必要がある


〇相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税する観点から、現行の相続時精算課税制度と暦年課税制度のあり方を見直すなど、格差の固定化防止等の観点も踏まえながら、資産移転時期の選択に中立的な税制の構築に向けて、本格的な検討を進める

2021年12月20日現在

2021年度税制改正(案)の主要項目

個人所得課税

○住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除

 特別特例取得に該当する住宅の取得等をした個人が、その家屋を令和3年1月1日から令和4年12月31日までの間にその者の居住の用に供した場合には、控除期間の3年間延長の特例を適用できることとする。
 この特別控除の特例は、床面積が40㎡以上50㎡未満の家屋についても適用できることとする。ただし、13年間の控除期間のうち、合計所得金額が 1,000万円を超える年については適用しない


〇セルフメディケーション税制

 療養の給付に要する費用の適正化の効果が低いと認められるものを除外し、効果が著しく高いと認められる(3薬効程度)一定のものを対象に加える。
*令和4年分以後の所得税について適用


〇確定拠出年金

確定拠出年金制度について次の見直し等が行われた後も、現行の税制上の措置を適用


改正前改正後
確定給付企業年金制度の加入者の
企業型確定拠出年金の拠出限度額
月額 2.75万円月額5.5万円-確定給付企業年金ごとの掛金相当額
確定給付企業年金制度の加入者の
個人型確定拠出年金の拠出限度額
月額 1.2万円月額5.5万円-確定給付企業年金ごとの掛金相当額及び
企業型確定拠出年金の掛金額(月額2万円を上限)

○退職所得課税

 短期退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した残額のうち300万円を超える部分については、退職所得の金額の計算上2分の1とする措置を適用しない
 *短期退職手当等・・勤続年数が5年以下である者が受ける退職手当等で特定役員退職手当等に該当しないもの


〇個人住民税

 均等割及び所得割の非課税限度額の算定の基礎となる扶養親族から、年齢30歳以上70歳未満の非居住者(一定の人を除く)を除外する
 *令和6年度分以後の個人住民税について適用

資産課税

○国際金融都市に向けた税制上の措置

 国内に短期的に居住する在留資格を有する者、国外に居住する外国人等が、相続開始の時又は贈与の時において国内に居住する在留資格を有する者から、相続若しくは遺贈又は贈与により取得する国外財産については、相続税又は贈与税を課さないこととする


〇直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税

 令和3年4月1日から12月31日までの間に住宅用家屋の新築等に係る契約を締結した場合における非課税限度額を令和2年4月1日から令和3年3月31日までの間の非課税限度額と同額まで引き上げ
 贈与を受けた年分の合計所得金額が1,000万円以下である場合は、床面積要件の下限を40㎡以上(改正前:50㎡以上)に引き下げ
 *令和3年1月1日以後に贈与により取得する住宅取得等資金について適用


〇住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税制度

 床面積要件の下限を40㎡以上(改正前:50㎡以上)に引き下げ
 *令和3年1月1日以後に贈与により取得する住宅取得等資金にについて適用


〇教育資金の一括贈与非課税措置

  • 教育資金管理契約の終了の日までに贈与者が死亡した場合(一定の場合を除く)、その死亡の日までの年数にかかわらず、管理残額を、受贈者がその贈与者から相続等により取得したものとみなす
  • この場合の管理残額について、贈与者の子以外の直系卑属に相続税が課される場合には、相続税額の2割加算の対象とする

 *令和3年4月1日以後の信託等により取得する信託受益権等について適用


〇結婚・子育て資金の一括贈与非課税措置

贈与者から相続等により取得したものとみなされる管理残額について、贈与者の子以外の直系卑属に相続税が課される場合には、相続税額の2割加算の対象とする
 *令和3年4月1日以後の信託等により取得する信託受益権等について適用

法人課税

○デジタルトランスフォーメーション投資促進税制の創設

 産業競争力強化法の改正を前提に、青色申告法人で同法の事業適応計画(仮称)について同法の認定を受けたものが、一定のソフトウエアの新設等をした場合には、30%の特別償却と3%の税額控除の選択適用ができる


〇中小企業技術基盤強化税制

 売上が減少しても試験研究費を増額した一定の場合、控除額の上限に当期の法人税額の5%を上乗せする


〇中小企業者等の法人税の軽減税率の特例

 適用期限を2年延長


〇消費税の仕入控除税額の計算

 課税売上割合に準ずる割合を用いようとする課税期間の末日までに承認申請書を提出し、翌日以後1月を経過する日までに税務署長の承認を受けた場合には、承認申請書を提出した日の属する課税期間から課税売上割合に準ずる割合を用いることができることとする


〇税務関係書類における押印義務

 次に掲げる書類を除き、押印を要しないこととする
(1)担保提供関係書類及び物納手続関係書類のうち、実印の押印及び印鑑証明書の添付を求めている書類
(2)相続税及び贈与税の特例における添付書類のうち財産の分割の協議に関する書類

2020年12月17日現在

2020年度税制改正(案)の主要項目

個人所得課税

○NISA

  • つみたてNISA 勘定設定期間を令和24年12月31日まで5年間延長
  • 一般NISA 新たな非課税措置を創設し、現行のNISAとの選択に
  • ジュニアNISA 未成年者口座開設可能期間は延長せずに終了することとし、その終了にあわせ、令和6年1月1日以後は、課税未成年者口座及び未成年者口座内の上場株式等及び金銭の全額について源泉徴収を行わずに払い出すことができることとする

○低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除の創設

 低未利用土地等であることについての市区町村の長の確認がされたもので、 その年1月1日において所有期間が5年を超えるものの譲渡をした場合には、その長期譲渡所得の金額から100万円を控除することができることとする


〇配偶者居住権

 配偶者居住権又は配偶者敷地利用権が消滅等をし、その消滅等の対価として支払を受ける金額に係る譲渡所得の金額の計算上控除する取得費についての定めを設ける


〇従前住宅等の譲渡をした場合の新規住宅の住宅ローン控除

 住宅の取得等をした家屋(新規住宅)を居住の用に供した日の属する年から3年目に該当する年中に従前住宅等の譲渡をした場合において、従前住宅等の譲渡につき次に掲げる特例の適用を受けるときは、新規住宅について住宅ローン控除等の適用を受けることができないこととする

①居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例
②居住用財産の譲渡所得の特別控除  等


〇国外中古建物の不動産所得に係る損益通算等の特例

 個人が令和3年以後の各年において不動産所得の金額の計算上国外不動産所得の損失の金額があるときは、その国外不動産所得の損失の金額のうち国外中古建物の償却費に相当する部分の金額は、所得税に関する法令の規定の適用については、生じなかったものとみなす。


〇未婚のひとり親に対する税制上の措置

 居住者が、現に婚姻をしていない者のうち、合計所得金額が500万円以下であるなど一定の要件を満たすもの(寡婦又は寡夫である者を除く)である場合には、その年分の総所得金額等から35万円を控除する


〇日本国外に居住する親族に係る扶養控除の適用

 非居住者である親族に係る扶養控除の対象となる親族から、年齢30 歳以上70歳未満の者であって次のいずれにも該当しない者を除外する

(イ)留学により非居住者となった者
(ロ)障害者
(ハ)その居住者からその年における生活費又は教育費に充てるための支払を38万円以上受けている者


〇確定拠出年金法等の改正

 加入可能要件、受給開始時期の選択範囲拡大などの改正後も現行の税制措置を適用


〇国民健康保険税の課税限度額

 基礎課税額 61万円から63万円に引き上げる
 介護納付金課税額 16万円から17万円に引き上げる

資産課税

○所有者不明土地等に係る固定資産税

  • 現に所有している者の申告の制度化
  • 使用者を所有者とみなす制度の拡大

法人課税

○交際費等の損金不算入

 接待飲食費に係る損金算入の特例の対象法人からその資本金の額等が100億円を超える法人を除外した上その適用期限を2年延長する


〇5G(第5世代移動通信システム)

 特定高度情報通信用認定等設備を取得した場合の特別償却又は税額控除制度を創設


〇中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入

 対象法人の要件のうち常時使用する従業員の数の要件を1,000人以下から500人以下に引き下げるなどの見直しをし、適用期限を2年延長

消費課税

〇法人に係る消費税の申告期限の特例

 法人税の確定申告書の提出期限の延長の特例の適用を受ける法人が、消費税の確定申告書の提出期限を延長する旨の届出書を提出した場合には、当該提出をした日の属する事業年度以後の各事業年度の末日の属する課税期間に係る消費税の確定申告書の提出期限を1月延長する


〇居住用賃貸建物の取得等に係る消費税の仕入税額控除制度等の適正化

 住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物以外の建物であって高額特定資産に該当するもの(以下「居住用賃貸建物」 という。)の課税仕入れについては、仕入税額控除制度の適用を認めないこととする。 ただし、居住用賃貸建物のうち 住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな部分については、引き続き仕入税額控除制度の対象とする。


2019年12月24日現在

2019年度税制改正(案)の主要項目

個人所得課税

○住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除

 住宅の取得等(消費税等の税率が10%である場合の住宅の取得等に限る)をして平成31年10月1日から平成32年12月31日までの間にその者の居住の用に供した場合について、住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の特例を創設する。

【適用年の11年目から13年目までの各年の住宅借入金等特別税額控除額】
一般の住宅の場合 (認定住宅の場合にも同様の措置)

 次に掲げる金額のいずれか少ない金額

 (イ)住宅借入金等の年末残高(4,000万円を限度)×1%

 (ロ)〔住宅の取得等の対価の額又は費用の額-住宅の取得等の対価の額又は

    費用の額に含まれる消費税額等〕(4,000万円を限度)×2% ÷3


〇空き家に係る譲渡所得の3,000万円特別控除

老人ホーム等に入所をしたことにより被相続人の居住の用に供されなくなった家屋及びその家屋の敷地の用に供されていた土地等は、一定の要件を満たす場合、相続の開始の直前においてその被相続人の居住の用に供されていたものとして本特例を適用する。


〇NISA

・一時的な出国により居住者等に該当しないこととなる場合、継続適用届出書の提出など一定の手続きにより、出国の時から帰国届出書の提出をする日と継続適用届出書の提出をした日から起算して5年を経過する日の属する年の12月31日とのいずれか早い日までの間は、居住者等に該当する者とみなして、本措置を引き続き適用できることとする。

・非課税口座を開設することができる年齢要件をその年1月1日において18歳以上(現行:20歳以上)に引き下げる。・・(ジュニアNISAは18歳未満に)


〇仮想通貨

所得の金額の計算上必要経費に算入する金額を算定する場合の基礎となる、期末において有する仮想通貨の価額は、移動平均法又は総平均法により算出した取得価額をもって評価した金額とする。


〇個人住民税の非課税措置

児童扶養手当の支給を受けている児童の父又は母のうち、婚姻をしていない者又は配偶者の生死の明らかでない者(これらの者の前年の合計所得金額が135万円を超える場合を除く)を個人住民税の非課税措置の対象に加える。


〇国民健康保険税の基礎課税額の課税限度額

58万円から61万円に引き上げる。

資産課税

○個人事業者の事業用資産に係る相続税の納税猶予制度の創設

認定相続人が、平成31年1月1日から平成40年12月31日までの間に、相続等により特定事業用資産を取得し、事業を継続していく場合、認定相続人が納付すべき相続税額のうち、相続等により取得した特定事業用資産の課税価格に対応する相続税の納税を猶予する。


〇個人事業者の事業用資産に係る贈与税の納税猶予制度の創設

認定受贈者(18歳(平成34年3月31日までの贈与については、20歳)以上である者に限る。以下同じ)が、平成31年1月1日から平成40年12月31日までの間に、贈与により特定事業用資産を取得し、事業を継続していく場合、認定受贈者が納付すべき贈与税額のうち、贈与により取得した特定事業用資産の課税価格に対応する贈与税の納税を猶予する。


〇特定事業用宅地等に係る小規模宅地等の特例の見直し

特定事業用宅地等の範囲から、相続開始前3年以内に事業の用に供された宅地等(その宅地等の上の事業用減価償却資産の価額が、宅地等の相続時の価額の15%以上である場合を除く)を除外する。
*平成31年4月1日以後に相続等により取得する財産に係る相続税について適用


〇教育資金の一括贈与非課税措置の見直し

  • 前年の受贈者の合計所得金額が1,000万円超の場合、不適用とする。
  • 教育資金の範囲から、学校等以外の者に支払われる金銭で受贈者が23歳に達した日の翌日以後に支払われるもののうち、教育に関する役務提供の対価、スポーツ・文化芸術に関する活動等に係る指導の対価、これらに係る物品の購入費及び施設の利用料を除外する。
    *平成31年7月1日以後に支払われる教育資金について適用

〇結婚・子育て資金の一括贈与非課税措置の見直し

前年の受贈者の合計所得金額が1,000万円超の場合、不適用とする。
*平成31年4月1日以後に取得する信託受益権等に係る贈与税について適用


〇相続税の未成年者控除の対象となる相続人の年齢

18歳未満 (現行:20歳未満) に引き下げる。


〇民法(相続関係)の改正に伴う措置

配偶者居住権、配偶者居住権が設定された建物・敷地の所有権等の評価方法を定める。

法人課税

○試験研究費の総額に係る税額控除制度

税額控除率を見直した上、研究開発を行う一定のベンチャー企業の控除税額の上限を当期の法人税額の40%(現行:25%)に引き上げる。


〇中小企業技術基盤強化税制

増減試験研究費割合が5%を超える場合の特例を増減試験研究費割合が8%を超える場合の特例に見直した上、適用期限を2年延長する。


〇中小企業者等の法人税の軽減税率の特例

適用期限を2年延長する。


〇都市・地方の持続可能な発展のための地方税体系の構築

法人事業税(所得割及び収入割に限る)の税率を引下げ、特別法人事業税(仮称)を創設する。


2018年12月21日現在

2018年度税制改正案*平成30年度税制改正(案)の主要項目

個人所得課税

*平成32年分以後の所得税、平成33年分以後の住民税について適用

○給与所得控除の見直し

給与等の収入金額給与所得控除額
162.5万円以下
162.5万円超180万円以下
180万円超360万円以下
360万円超660万円以下
660万円超850万円以下
850万円超
55万円
その収入金額×40%-10万円
その収入金額×30%+8万円
その収入金額×20%+44万円
その収入金額×10%+110万円
195万円

〇特定支出控除の見直し

・特定支出の範囲に職務の遂行に直接必要な旅費等で通常必要と認められるものを加える

〇公的年金等控除の見直し

・控除額を一律10万円引き下げ
・公的年金等の収入金額が1,000万円を超える場合の控除額については、195万5千円の上限を設ける
・公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が1,000万円を超え2,000万円以下である場合の控除額を上記の見直し後の控除額から一律10万円、2,000万円を超える場合の控除額を上記の見直し後の控除額から一律20万円引き下げ

〇基礎控除の見直し

合計所得金額給与所得控除額
2,400万円 以下
48万円
2,400万円 超 2,450万円 以下
32万円
2,450万円 超 2,500万円 以下
16万円

〇所得金額調整控除

給与等の収入金額が850万円を超える特別障害者に該当する人その他一定の人の総所得金額を計算する場合、一定額を給与所得の金額から控除する

〇青色申告特別控除

正規の簿記の原則に従って記帳している人の青色申告特別控除の額を65万円から55万円に引き下げ
ただし、所得税の確定申告書等を期限内にe-Taxにより提出している場合等は65万円

○給与所得控除や基礎控除などの見直しに伴う調整

項     目 合計所得金額要件
改正前 改正案
同一生計配偶者及び扶養親族 38万円以下 48万円以下
源泉控除対象配偶者85万円以下 95万円以下
配偶者特別控除の対象となる配偶者 38万円超123万円以下 48万円超133万円以下
勤労学生 65万円以下 75万円以下

〇国民健康保険税の基礎課税額の課税限度額

54万円から58万円に引き上げ

資産課税

○非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度の特例の創設

特例後継者が、特例認定承継会社の代表権を有していた者から、贈与又は相続若しくは遺贈によりその会社の非上場株式を取得した場合には、その取得した全ての非上場株式に係る課税価格に対応する贈与税又は相続税の全額について、特例後継者の死亡の日等まで納税を猶予する

〇特定の一般社団法人等に対する相続税の課税

特定一般社団法人等の役員(理事に限る。以下同じ)である者(相続開始前5年以内のいずれかの時において特定一般社団法人等の役員であった者を含む)が死亡した場合には、特定一般社団法人等が、特定一般社団法人等の純資産額をその死亡の時における同族役員(被相続人を含む)の数で除して計算した金額を被相続人から遺贈により取得したものとみなして、特定一般社団法人等に相続税を課税することとする

平成30年4月1日以後の一般社団法人等の役員の死亡に係る相続税について適用

〇小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例

・持家に居住していない者に係る特定居住用宅地等の特例の対象者の範囲から、次に掲げる者を除外する

イ 相続開始前3年以内に、その者の3親等内の親族又はその者と特別の関係のある法人が所有する国内にある家屋に居住したことがある者

ロ 相続開始時において居住の用に供していた家屋を過去に所有していたことがある者

・貸付事業用宅地等の範囲から、相続開始前3年以内に貸付事業の用に供された宅地等(相続開始前3年を超えて事業的規模で貸付事業を行っている者が貸付事業の用に供しているものを除く)を除外する

法人課税

○所得拡大促進税制の見直し

青色申告書を提出する法人が、平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間に開始する各事業年度において国内雇用者に対して給与等を支給する場合において、一定の要件を満たすときは、給与等支給増加額の15%または20%の税額控除ができる

○中小企業における所得拡大促進税制の見直し

青色申告書を提出する中小企業者等が、平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間に開始する各事業年度において国内雇用者に対して給与等を支給する場合、平均給与等支給額から比較平均給与等支給額を控除した金額の比較平均給与等支給額に対する割合が1.5%以上であるときは、給与等支給増加額の15%の税額控除ができることとする

この場合、次の要件を満たすときは給与等支給増加額の25%の税額控除ができることとする

*当期の法人税額の20%が上限

①平均給与等支給額から比較平均給与等支給額を控除した金額の比較平均給与等支給額に対する割合が2.5%以上

②次のいずれかの要件を満たすこと

イ 教育訓練費の額の前期の教育訓練費の額に対する増加割合が10%以上

ロ その中小企業者等がその事業年度終了の日までに中小企業等経営強化法の経営力向上計画の認定を受けたもので、その経営力向上計画に従って経営力向上が確実に行われたものとして証明がされたこと

2017年度税制改正案*平成29年度税制改正(案)の主要項目

個人所得課税

○配偶者控除及び配偶者特別控除の見直し

(1)配偶者控除・・次のとおりとする

*本人の合計所得金額が1,000万円を超える場合は適用できないことに

本人の合計所得金額 控   除   額
控除対象配偶者 老人控除対象配偶者
900万円以下 38万円 48万円
900万円超  950万円以下 26万円 32万円
950万円超 1,000万円以下 13万円 16万円

(2)配偶者特別控除

対象となる配偶者の合計所得金額を38万円超123万円以下(現行:38万円超76万円未満) とし、本人の合計所得金額の次の区分により控除額が定まる

 本人の合計所得

配偶者の合計所得
38万円超85万円以下
(最高)控除額

配偶者の合計所得
120万円超123万円以下
(最低)控除額

900万円以下 38万円 3万円
900万円超950万円以下 26万円 2万円
950万円超1,000万円以下 13万円 1万円

*平成30年分以後の所得税について適用

○金融・証券税制

NISAについて、「非課税累積投資契約に係る非課税措置」を創設(現行と選択適用)

非課税期間 20年間
対象 公募等株式投資信託の配当等、譲渡所得
損失金額 ないものとみなす
投資額の限度 取得対価の額の合計額で40万円
非課税累積投資契約 金融商品取引業者等と締結した公募等株式投資信託の
受益権の定期かつ継続的な方法による買付け及び
その管理に関する契約

*平成31年分以後の所得税,平成32年度分以後の個人住民税について適用

○住宅・土地税制

(1) 住宅の耐久性向上改修工事

特定の省エネ改修工事と併せて行う一定の耐久性向上改修工事を、特定の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の特例等の対象とする。

*平成29年4月1日から平成33年12月31日までの間に自己の居住の用に供する場合について適用


(2)一定の断熱改修工事

居室の窓の断熱改修工事又は居室の窓の断熱改修工事と併せて行う天井、 壁若しく は床の断熱改修工事で、断熱等性能等級が一段階相当以上向上する工事を,住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除等の対象とする


(3)給与所得者等が使用者等から借りた住宅ローン等のうち、住宅ローン控除等の対象とならない住宅ローン等の利率を0.2%未満(現行:1%未満)に引き下げる

*平成29年1月1日以後に居住の用に供する場合について適用 


○その他

(1)確定拠出年金法の老齢給付金として支給される一時金の退職所得控除額

計算の基礎となる組合員等であった期間に、確定拠出年金以外の制度から資産又は脱退一時金相当額等の移換があった場合におけるその移換を受けた資産又は脱退一時金相当額等の額の算定の基礎となった期間のうち、加入者の年齢が60歳に達した日の前日が属する月後の期間及び確定拠出年金の運用指図者期間と重複している期間を含める


(2)上場株式等に係る配当所得等

 市町村が納税義務者の意思等を勘案し、所得税と異なる課税方式により個人住民税を課することができることを明確化する


(3)国民健康保険税

減額の対象となる所得の基準を次のとおりとする

  被保険者の数に乗ずべき金額
改正前 改正案
5割軽減 27万円 26.5万円
2割軽減 49万円 48万円

資産課税

○非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度

・相続時精算課税制度に係る贈与を、贈与税の納税猶予制度の適用対象に加える

・非上場株式等の贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予制度における認定相続承継会社の要件について、中小企業者であること及び株式等が非上場株式等に該当することとする要件を撤廃する

 *平成29年1月1日以後に相続若しくは遺贈又は贈与により取得する財産について適用(経過措置あり)


○相続税又は贈与税の納税義務・・平成29年4月1日以後の相続・遺贈又は贈与について適用

・国内に住所を有しない者であって日本国籍を有する相続人等に係る相続税の納税義務について、国外財産が相続税の課税対象外とされる要件を、被相続人等及び相続人等が相続開始前10年(現行:5年)以内のいずれの時においても国内に住所を有したことがないこととする

・被相続人等及び相続人等が出入国管理及び難民認定法別表第一の在留資格をもって一時的滞在(国内に住所を有している期間が相続開始前15年以内で合計10年以下の滞在)をしている場合等の相続又は遺贈に係る相続税については、国内財産のみを課税対象とすることとする

・国内に住所を有しない者であって日本国籍を有しない相続人等が国内に住所を有しない者であって相続開始前10年以内に国内に住所を有していた被相続人等(日本国籍を有しない者であって一時的滞在をしていたものを除く)から相続又は遺贈により取得した国外財産を、相続税の課税対象に加える


○居住用超高層建築物の固定資産税・都市計画税

居住用超高層建築物については、居住用超高層建築物全体に係る固定資産税額を各区分所有者にあん分する際に用いる各区分所有者の専有部分の床面積を、階層別専有床面積正率により補正する

【階層別専有床面積正率】 住戸の所在する階層の差違による床面積当たりの取引単価の変化の傾向を反映するための補正率 ・・ 「 100(1階) + 10/39(一階ごと) 」

*天井の高さ、附帯設備の程度等について著しい差違がある場合、差違に応じた補正を行う

*区分所有者全員による申出があった場合、申し出た割合により居住用超高層建築物に係る固定資産税額をあん分することも可能

*平成30年度から新たに課税されることとなる居住用超高層建築物(平成29年4月1日前に売買契約が締結された住戸を含むものを除く)について適用


○保育施設の固定資産税・都市計画税

平成29年4月1日から平成31年3月31日までの間に子ども・子育て支援法に基づく政府の補助を受けた事業主等が、一定の保育に係る施設を設置する場合、施設の用に供する固定資産に係る固定資産税及び都市計画税ついて、課税標準を5年間軽減する


○中小企業等経営強化法に規定する認定経営力向上計画に基づき、中小事業者等が取得する一定の機械 ・ 装置に係る固定資産税の課税標準の特例措置について、地域・業種を限定した上で、その対象に、測定工具及び検査工具、器具・備品並びに建物附属設備 (償却資産として課税されるものに限る)のうち一定のものを加える


○不動産取得税

家庭的保育事業、居宅訪問型保育事業又は事業所内保育事業(利用定員が1人以上5人以下)の用に直接供する家屋(他の用途に供されていないものに限る) に係る不動産取得税の課税標準の特例措置について、価格から控除する額を、不動産の価格の2分の1を参酌して3分の1以上3分の2以下の範囲内において道府県の条例で定める割合(現行:2分の1)を乗じて得た額に相当する額とする


○相続税の物納に充てることができる財産の順位

株式、社債及び証券投資信託等の受益証券のうち金融商品取引所に上場されているもの等を国債及び不動産等と同じ第一順位とし、物納財産の範囲に投資証券等のうち金融商品取引所に上場されているもの等を加え、これらについても第一順位とする


○相続税等の財産評価の適正化

・取引相場のない株式の評価・・類似業種比準方式

(イ)類似業種の上場会社の株価につき、現行に課税時期の属する月以前2年間平均を加える

(ロ)類似業種の上場会社の配当金額、利益金額及び簿価純資産価額について、連結決算を反映させたものとする

(ハ)配当金額、利益金額及び簿価純資産価額の比重について、 1:1:1とする

ロ 評価会社の規模区分の金額等の基準について、大会社及び中会社の適用範囲を総じて拡大する

*平成29年1月1日以後の相続等により取得した財産に適用


・広大地の評価について 現行の面積に比例的に減額する評価方法から、各土地の個性に応じて形状・面積に基づき評価する方法に見直し、適用要件を明確化する

*平成30年1月1日以後の相続等により取得した財産の評価に適用


・株式保有特定会社(保有する株式及び出資の価額が総資産価額の50%以上を占める非上場会社)の判定基準に新株予約権付社債を加える

*平成30年1月1日以後の相続等により取得した財産の評価に適用

法人課税

○試験研究を行った場合の税額控除制度(研究開発税制)の見直し(所得税についても同様)

①試験研究費の総額に係る税額控除制度について、税額控除率(現行:試験研究費割合に応じ8~10%)を試験研究費の増減割合に応じた税額控除率(10%を上限)とする

②試験研究費の増加額に係る税額控除又は平均売上金額の10%を超える試験研究費に係る税額控除を選択適用できる制度について、試験研究費の増加額に係る税額控除を廃止した上、適用期限を2年延長


○賃上げを促すための所得拡大促進税制の見直し

中小企業者等について、平均給与等支給額から比較平均給与等支給額を控除した金額のその比較平均給与等支給額に対する割合が2%以上である場合における控除税額を、雇用者給与等支給増加額の10%と雇用者給与等支給増加額のうち雇用者給与等支給額から比較雇用者給与等支給額を控除した金額に達するまでの金額の12%との合計額(現行:雇用者給与等支給増加額の10%)とする


○コーポレートガバナンス改革・事業再編の環境整備

(1) 確定申告書の提出期限の延長の特例

法人が、会計監査人を置いている場合で、かつ、定款等の定めにより各事業年度終了の日の翌日から3月以内に決算についての定時総会が招集されない常況にあると認められる場合には、定めの内容を勘案して4月を超えない範囲内において税務署長が指定する月数の期間の確定申告書の提出期限の延長を認めることとする


(2) 法人の支給する役員給与等

定期同額給与の範囲に、税及び社会保険料の源泉徴収等の後の金額が同額である定期給与を加える


(3) 組織再編税制等

・適格分割の範囲に、分割法人が行っていた事業の一部をその分割型分割により新たに設立する分割承継法人において独立して行うための分割として一定のものを加える


○中小企業者等に係る軽減税率の特例の適用期限を2年延長


○円滑・適正な納税のための環境整備

(1)法人税の納税地に異動があった場合に提出することとされている届出書について、異動後の納税地の所轄税務署長への提出を不要とする


(2)法人の設立届出書等について、登記事項証明書の添付を不要とする


○特定の資産の買換えの場合等の課税の特例

一定の見直しを行った上、適用期限を3年延長する


○法人税関係の中小企業向けの各租税特別措置

平均所得金額(前3事業年度の所得金額の平均)が年15億円を超える事業年度の適用を停止する

*平成31年4月1日以後に開始する事業年度から適用

消費課税

○酒税改革

税率構造の見直し


○車体課税の見直し

自動車重量税のエコカー減税について見直し

国際課税

○外国子会社合算税制等の総合的見直し

(1) 合算対象とされる外国法人の判定方法等

(2)会社単位の合算課税制度

納税環境整備

○国税犯則調査手続

電磁的記録に係る証拠収集手続の整備

① 電磁的記録に係る記録媒体の差押えの執行方法の整備

 差し押さえるべき物件が記録媒体であるときは、記録された電磁的記録を他の記録媒体に複写、印刷又は移転の上、差し押さえることができることとする


② 接続サーバ保管の自己作成データ等の差押えの整備

 差し押さえるべき物件が電子計算機であるときは、電子計算機に電気通信回線で接続している記録媒体であって、電子計算機で作成等をした電磁的記録等を保管するために使用されていると認めるに足りる状況にあるものから、電磁的記録を電子計算機等に複写した上、 電子計算機等を差し押さえることができることとする


③ 記録命令付差押えの整備

 電磁的記録の保管者等に命じて、必要な電磁的記録を記録媒体に記録又は印刷させた上、 記録媒体を差し押さえることができることとする


④ 通信履歴の電磁的記録の保全要請の整備

 差押え又は記録命令付差押えをするため必要があるときは、通信事業者等に対し、通信履歴の電磁的記録について、30日(特に必要があって延長する場合には、通じて60日)を超えない期間を定めて、消去しないよう求めること (この場合において、必要があるときは、 みだりにこれらに関する事項を漏らさないよう求めること)ができることとする


○口座振替納付に係る納付書の送付等

 口座振替納付に係る税務署長と金融機関間の納付書の送付等について、電子情報処理組織を使用等して行うことができることとする

*平成30年1月1日以後に納付する国税について適用

2016年度税制改正案*平成28年度税制改正大綱の主な項目 (2015年12月18日)より

個人所得課税

1. 住宅・土地税制

(1) 空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例の創設

相続により取得をした被相続人居住用家屋及び敷地の土地等を譲渡した場合、居住用財産の譲渡所得の3,000万円特別控除を適用することができることとする。

(2) 住宅の三世代同居改修工事等に係る特例の創設

三世代同居改修工事等を住宅借入金や自己資金により行った場合に所得税額の特別控除をできる

(3) 非居住者期間中の住宅の新築の住宅ローン控除等

住宅ローン控除等につき、非居住者期間中に住宅の新築・増改築等をした場合についても適用できることに

2. 金融・証券税制

(1) NISAについて、非課税適用確認書の交付申請書に基準日における国内の住所の記載・住所を証する書類の添付を不要とするなどの整備をおこなう

(2) 国外転出時課税制度により譲渡とみなされたものを、上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象とする

3. 租税特別措置等

(1) スイッチOTC薬控除(医療費控除の特例) の創設

自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る一定のスイッチOTC医薬品の購入をした場合、次の金額を総所得金額等から控除する。

控除額 = 医薬品購入対価の額-12,000円  (8万8千円が限度)

その他

(1) 通勤手当の非課税限度額を月額15万円(現行:10万円)に引き上げ

(2) 確定給付企業年金法等の改正を前提に、企業年金等の掛金等の必要経費算入の対象に次の掛金等を加え、従業員の給与所得の金額の計算上その掛金を収入金額に算入しないこととするほか、確定給付企業年金法に基づく給付等について、 現行の税制上の措置を適用する。

①事業主が将来の財政悪化を想定して計画的に拠出する掛金
②事業主が拠出する掛金で給付増減調整により運用リスクを事業主と加入者とで分担する企業年金に係るもの     等

(3) 相続の開始の日の属する年分の所得税について贈与等時課税制度の適用を受けた居住者に次に掲げる事由が生じたことにより、非居住者に移転した対象資産が当初申告と異なることとなった場合、相続人は事由が生じた日から4月以内に、税額が増加する場合には修正申告をし、税額が減少する場合には更正の請求ができることとする

イ遺留分の減殺請求に基づき、返還すべき又は弁償すべき額が確定したこと
ニ遺贈に係る遺言書が発見され又は遺贈の放棄があったこと   等

(4) 給与等、公的年金等又は退職手当等の支払者に対して次に掲げる申告書の提出をする場合、その支払者が提出をする者や控除対象配偶者又は扶養親族等の個人番号その他の事項を記載した帳簿を備えているときは、帳簿に記載された個人番号の記載を要しないものとする

①給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
②退職所得の受給に関する申告書
③公的年金等の受給者の扶養親族等申告書

(5) 関連法令等の改正を前提に、下記のものついては非課税とする

・児童扶養手当法の児童扶養手当
・母子及び父子並びに寡婦福祉法の自立支援教育訓練給付金及び高等職業訓練促進給付金
・障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律の自立支援給付
・雇用保険法の失業等給付等

(6) 国民健康保険税

①基礎課税額の限度額を54万円(現行:52万円)に引き上げ
②後期高齢者支援金等課税額の課税限度額を19万円(現行:17万円)に引き上げ

二 資産課税

〈相続税・贈与税〉

(1) 直系尊属から結婚 ・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、対象となる不妊治療に要する費用に薬局に支払われるものが含まれること等を明確化

(2) 贈与税の配偶者控除について、申告書に添付すべき登記事項証明書を、居住用不動産を取得したことを証する書類に変更

三 法人課税

1成長志向の法人税改革

(1) 法人税の税率(現行:23.9%)について、段階的に引き下げ

①平成28年4月1 日以後に開始する事業年度・・ 23.4%
②平成30年4月1日以後に開始する事業年度・・23.2%

(2) 租税特別措置の見直し

生産性向上設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度 (生産性向上設備投資促進税制)は適用期限をもって廃止

(3) 減価償却制度

平成28年4月1日以後に取得をする建物附属設備及び構築物について、 定率法を廃止し、定額法とする

(4) 欠損金の繰越控除

平成27年度税制改正における控除限度額の段階的引下げ措置を見直し

2地方税

(1) 法人事業税の税率引下げと外形標準課税の拡大

3地方創生応援税制

(1) 企業版ふるさと納税の創設

地域再生法の改正を前提に、 青色申告法人が、 地域再生法の改正法の施行の日から平成32年3月31日までの間に、 地域再生法の認定地域再生計画に記載された同法の地方創生推進寄附活用事業 (仮称) に関連する寄附金を支出した場合、 その支出した寄附金の額の合計額の20%からその寄附金の支出について法人住民税の額から控除される金額を控除した金額とその支出した寄附金の額の合計額の10%とのうちいずれか少ない金額の税額控除ができることとする。

*法人税額の5%を上限

4その他

(1) 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例

対象となる法人から常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人を除外し、適用期限を2年延長 (所得税についても同様)

(2) 役員給与

役員から受ける将来の役務の提供の対価として交付する一定の譲渡制限付株式による給与についての事前確定の届出を不要とし、利益連動給与の算定指標の範囲にROE (自己資本利益率) その他の利益に関連する一定の指標が含まれることを明確化

(3) 確定給付企業年金法等の改正を前提に、企業年金等の掛金等の損金算入の対象に次の確定給付企業年金の掛金等を加え、掛金等に係る積立金を退職年金等積立金に対する法人税の課税対象に加える

①事業主が将来の財政悪化を想定して計画的に拠出する掛金
②事業主が拠出する掛金で給付増減調整により運用リスクを事業主と加入者とで分担する企業年金に係るもの   等

四 消費課税

1消費税の軽減税率制度

(1) 消費税の軽減税率制度

・消費税の軽減税率制度・・平成29年4月1日から導入
・インボイス制度・・平成33年4月1日から導入

(2) 軽減税率対象品目及び税率

軽減税率の対象となる課税資産の譲渡等は次のとおりとし、軽減税率は6.24%(地方消費税と合わせて8%)とする

①飲食料品の譲渡 (食品表示法に規定する食品(酒税法に規定する酒類を除く)
の譲渡をいい、外食サービスを除く)
②定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞の譲渡

五 納税環境整備

1クレジットカード納付制度の創設

2加算税制度の見直し

3マイナンバー記載の対象書類の見直し

次に掲げる書類について個人番号の記載を要しないこととする

(1) 申告等の主たる手続と併せて提出され、又は申告等の後に関連して提出されると考えられる書類

(例:所得税の青色申告承認申請書、消費税簡易課税制度選択届出書、 納税の猶予申請書)

(2) 税務署長等には提出されない書類であって提出者等の個人番号の記載を要しないこととした場合であっても所得把握の適正化・効率化を損なわないと考えられる書類

(例:非課税貯蓄申込書、財産形成非課税住宅貯蓄申込書、非課税口座廃止届出書)

2015年12月18日現在

2015年度税制改正案 *2014年12月30日 与党税制改正大綱より

一 個人所得課税

1. 金融・証券税制

NISAの拡充等

① ジュニアNISAの創設

項目内容
対象者20歳未満の居住者等
年間投資上限額80万円
投資可能期間平成28年から平成35年まで
非課税の対象上場株式等の配当等、譲渡所得等
非課税期間投資した年から最長5年間
運用等

原則として、親権者等が未成年者を代理して運用

18才までは原則として払い出し不可

NISAへの移換20才以降に移換可能

②NISAの年間投資額の限度額

100万円から120万円に引き上げ  *平成28年分以後の非課税管理勘定について適用

2. 住宅・土地税制

(1)住宅取得等に係る措置の期限

消費税率の10%への引き上げ時期の延期に伴い、住宅ローン控除等の特例を平成31年6月30日まで1年6月延長する。

(2)確定申告書等に住民票の写しを添付することとされている住宅ローン控除等の特例について、

「番号利用法」の規定により氏名及び住所等を確認することができるときは、添付を要しないこととする。
(注)番号利用法附則第1条第4号に定める日の属する年分以後の所得税について適用

3.その他

(1) 国外転出をする場合の譲渡所得等の特例の創設

国外転出をする居住者が、有価証券等又は未決済デリバティブ取引等を有する場合には、国外転出の時に、一定の金額により有価証券等の譲渡又は未決済デリバティブ取引等の決済をしたものとみなして、事業所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額を計算する。
特例の対象者・・次の1)及び2)の要件を満たす居住者

1)国外転出時における有価証券の価額等の合計額が1億円以上

2)国外転出の日前10年以内に、国内に住所又は居所を有していた期間が5年超

(2) 日本国外に居住する親族に係る扶養控除等の書類の添付等義務化

①確定申告、給与等又は公的年金等の源泉徴収及び給与等の年末調整において、非居住者である親族について扶養控除、配偶者控除、配偶者特別控除又は障害者控除の適用を受け場合は、ケースにより、親族関係書類及び送金関係書類の添付又は提示を要することとする。
平成28年1月1日以後に支払われる給与等及び公的年金等並びに平成28年分以後の所得税について適用する。

(3) 確定拠出年金法等の改正を前提に次の措置を講ずる。

①事業主が拠出する確定拠出年金法の小規模事業主掛金(仮称)について、現行の確定拠出年金の事業主掛金と同様に、従業員に対する給与所得に係る収入金額に含まれないものとする。

②個人型確定拠出年金制度の加入者に追加される企業年金加入者、公務員等共済加入者及び第三号被保険者について、現行の個人型確定拠出年金制度に係る税制上の措置を適用する。

個人型確定拠出年金制度の加入者に追加される者の拠出限度額

企業型確定拠出年金加入者(他の企業年金がない場合)年額24万円
企業型確定拠出年金加入者(他の企業年金がある場合)年額14.4万円
確定給付型年金のみ加入者及び公務員等共済加入者年額14.4万円
第三号被保険者年額27.6万円

(4) 生命保険契約等の一時金の支払調書等

保険契約の契約者変更があった場合には、保険金等の支払時の契約者の払込保険料等を記載することとする。
(注)平成30年1月1日以後の契約者変更について適用

(5)ふるさと納税

特例控除額の控除限度額を所得割額の1割から2割に引き上げる・・平成28年度分以後
※都道府県・市町村が周知、募集等の事務を適切に行うよう要請する

(6)国民健康保険税の課税限度額の引き上げ


現行改正案
基礎課税額51万円52万円
後期高齢者支援金等課税額16万円17万円
介護納付金課税額14万円16万円
合   計81万円85万円

二 資産課税

1. 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置等の見直し

直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、適用期限を平成31年6月30日まで延長し、限度額を契約の時期により区分する。

① 非課税限度額

イ 住宅用家屋の取得等の対価又は費用の額に係る消費税等の税率が10%である場合

住宅の取得等に係る契約の締結期間良質な住宅左記以外の住宅
平成28年10月~平成29年9月3,000万円2,500万円
平成29年10月~平成30年9月1,500万円1,000万円
平成30年10月~平成31年6月1,200万円700万円

ロ 上記イ以外の場合

住宅の取得等に係る契約の締結期間良質な住宅左記以外の住宅
~平成27年12月1,500万円1,000万円
平成28年1月~平成29年9月1,200万円700万円
平成29年10月~平成30年9月1,000万円500万円
平成30年10月~平成31年6月800万円300万円

2. 結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の創設

(1) 概要

受贈者20歳以上50歳未満の者
贈与者直系尊属
金融機関信託会社、信託銀行、銀行等、第一種金融商品取引業者
拠出等の期間平成27年4月1日から平成31年3月31日まで
非課税限度額受贈者1人につき1,000万円
(結婚に際して支出する費用については300万円)
結婚・子育て資金結婚に際して支出する婚礼(結婚披露を含む)に要する費用、住居に要する費用及び引越に要する費用のうち一定のもの
妊娠に要する費用、出産に要する費用、子の医療費及び保育料のうち一定のもの
資金管理契約の終了次の事由に該当した場合、結婚・子育て資金管理契約は終了する。
① 受贈者が50 歳に達した場合
② 受贈者が死亡した場合
③ 信託財産等の価額が零となった場合において終了の合意があったとき
終了時の残額の取扱い上記①又は③の場合:事由に該当した日に残額の贈与があったものとして受贈者に贈与税を課税する
②の場合:贈与税を課さない
期間中に贈与者が死亡した場合残額については、受贈者が贈与者から相続又は遺贈により取得したものとみなして、相続税の課税価格に加算する
この場合、対応する相続税額については相続税額の2割加算の対象としない
残額は、結婚・子育て資金支出額とみなす

3. 土地に係る固定資産税等の負担調整措置

(1) 土地に係る固定資産税の負担調整措置

① 宅地等及び農地の負担調整措置については、平成27年度から平成29年度までの間、商業地等に係る条例減額制度及び税負担急増土地に係る条例減額制度を含め、現行の負担調整措置の仕組みを継続する。

② 据置年度において簡易な方法により価格の下落修正ができる特例措置を継続する。

(2) 土地に係る都市計画税の負担調整措置

固定資産税の改正に伴う所要の改正を行う。

4. 租税特別措置等

〈相続税・贈与税〉

(1) 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置
次の見直しを行った上、適用期限を平成31年3月31日まで延長する。

①対象となる教育資金の範囲に、通学定期券代、留学渡航費等を加える。

②金融機関への領収書等の提出について、金額が1万円以下で、かつ、その年中における合計支払金額が24万円に達するまでのものについては、領収書等に代えて支払先、支払金額等の明細を記載した書類を提出することができることとする。

(注)上記②の改正は、平成28年1月1日以後に提出する書類について適用する。

(2) 非上場株式等に係る贈与税・相続税の納税猶予制度
経営贈与承継期間経過後に、経営承継受贈者が後継者へ特例受贈非上場株式等を贈与した場合において、その後継者が贈与税の納税猶予制度の適用を受けるときは、適用を受ける特例受贈非上場株式等に係る猶予税額を免除する。

〈固定資産税・都市計画税〉

(1)空室等対策の推進に関する特別措置法に基づく必要な措置の勧告の対象となった特定空室等に係る土地について、住宅用地に係る固定資産税・都市計画税の課税標準の特例対象から除外する。
(2)事業所内保育事業(利用定員が6人以上)の用に供する固定資産に係る固定資産税・都市計画税を非課税とする。

〈不動産取得税〉

事業所内保育事業(利用定員が6人以上)の用に供する不動産に係る不動産取得税を非課税とする。

5.その他

(1)調書について、次の措置を講ずる。

①保険会社等は、生命保険契約等について死亡による契約者変更があった場合には、死亡による契約者変更情報及び解約返戻金相当額等を記載した調書を、税務署長に提出しなければならないこととする。

②生命保険金等の支払調書について、保険契約の契約者変更があった場合には、保険金等の支払時の契約者の払込保険料等を記載することとする。
(注)平成30年1月1日以後の契約者変更について適用

三 法人課税

1. 成長志向に重点を置いた法人税改革

(1)法人税の税率の引き下げ

現 行改正案
25.5%23.9%

※平成27年4月1日以後に開始する事業年度について適用

※中小法人の軽減税率の特例(所得のうち年800万円以下の部分:19%→15%)の適用期限は2年延長

(2)欠損金の繰越控除の引下げ等

①青色欠損金の繰越控除限度額の段階的引き下げ

現行平成27年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する事業年度平成29年4月1日以後に開始する事業年度
80%65%50%

※資本金の額が1億円以下の中小法人(資本金の額等が5億円以上の法人の100%子法人等を除く)については、現行の控除限度額(→所得金額)を存置する。

※法人の設立の日から7年を経過する日までの期間内の日の属する各事業年度については、控除限度額を所得の金額とする。

②青色申告事業年度の欠損金の繰越期間を9年から10年に延長する。

※平成29年4月1日以後に開始する事業年度に生じた欠損金額について適用

(3)受取配当等の益金不算入制度

対象となる株式等の区分の見直し及び益金不算入割合の一部引き下げを行う。

(4)試験研究を行った場合の税額控除制度(研究開発税制) (所得税についても同様)

①特別試験研究費の額に係る税額控除制度について、次の見直しを行う。
1) 税額控除率(現行12%)を次のとおり引き上げる。
(イ)特別試験研究機関等又は大学等との共同研究及びこれらに対する委託研究 30%
(ロ)上記以外のもの 20%
2) 控除税額の上限を試験研究費の総額に係る税額控除制度及び中小企業技術基盤強
化税制とは別枠で当期の法人税額の5%とする。

②試験研究費の総額に係る税額控除制度及び中小企業技術基盤強化税制の控除税額の上限を当期の法人税額の25%とする。

(5)雇用者給与等支給額が増加した場合の税額控除制度における雇用者給与等支給増加割合の要件について、次の法人の区分ごとに見直しを行う(所得税についても同様)。

①中小企業者等
平成28年4月1日以後に開始する年度:5%以上→3%以上

②上記①以外の法人
平成28年4月1日から平成29年3月31日までに開始する年度:5%以上→4%以上

地方税

(1)外形標準課税の拡大

①法人事業税率の付加価値割、資本割の税率を段階的に上げ、所得割の税率を段階的に下げる。

②付加価値割において所得拡大促進税制を導入する。

2. 地方創生・国家戦略特区

(1)地方拠点強化税制の創設

地域再生法の改正を前提に、次の措置を講ずる(所得税についても同様)。

①地方拠点建物等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度の創設

②雇用促進税制の拡充

四 消費課税

1. 消費税率(国・地方)の10%への引上げ時期の変更等

社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律について、次の措置を講ずる。

①消費税率(国・地方)の10%への引上げの施行日を平成29年4月1日とする。

②附則第18 条第3項を削除する。

2. 地方創生

外国人旅行者向け消費税免税制度(輸出物品販売場制度)について、手続委託型輸出物品販売場制度及び外航クルーズ船が寄港する港湾における輸出物品販売場に係る届出制度を創設する。
(注)平成27年4月1日以後に行われる輸出物品販売場等の許可申請又は同日以後に行われる課税資産の譲渡等について適用

3. 国境を越えた役務の提供に対する消費税の課税の見直し

(1)リバースチャージ方式の導入
国外事業者が行う電気通信役務の提供のうち、役務の性質又は役務の提供に係る契約条件等により、役務の提供を受ける者が事業者であることが明らかなものを「事業者向け電気通信役務の提供」と位置付け、その取引に係る消費税の納税義務を役務の提供を受ける事業者に転換する

五 国際課税

1. 外国子会社配当益金不算入制度の見直し

2. 非居住者に係る金融口座情報の自動的交換のための報告制度の整備

3. 外国子会社合算税制等の見直し

六 納税環境整備

1. 財産明細書の見直し

現行の提出基準である「その年分の所得金額が2千万円超であること」に加え、「その年の12月31日において有する財産の価額の合計額が3億円以上であること、または、同日において有する国外転出をする場合の譲渡所得等の特例の対象資産の価額の合計額が1億円以上であること」を提出基準とする。

(注)平成28年1月1日以後に提出すべき財産債務調書について適用

2. マイナンバーが付された預貯金情報の効率的な利用に係る措置

番号利用法の改正に併せて、銀行等に対し、個人番号及び法人番号(マイナンバー)によって検索できる状態で預貯金情報を管理する義務を課すこととする。

3. 税務関係書類に係るスキャナ保存制度の見直し等

国税関係書類に係るスキャナ保存制度について、対象書類の見直し、業務処理後に保存を行う場合の要件の見直し、電子署名要件の見直し、及び大きさ情報・カラー保存要件の見直しを行う。

(注1)平成27年9月30日以後に行う承認申請について適用

(注2)地方税関係書類に係るスキャナ保存制度について、同様の見直しを行う。

2015年1月16日現在

2014年度税制改正案*平成26年度税制改正大綱(平成25年12月12日)より

個人所得課税

○給与所得控除の上限の引下げ


現行平成28(29)年分平成29(30)年分以後
上限額が適用される給与収入1,500万円1,200万円1,000万円
給与所得控除の上限額245万円230万円220万円

※年分は所得税、( )内は住民税

○金融・証券税制

NISA:非課税口座を開設する金融機関を毎年選択できることに(平成27年より)

○土地・住宅税制

(1)旧耐震基準によるマンションの売却で一定のものの譲渡所得の税率を軽減

譲渡所得所得税住民税
2000万円以下の部分10%4%
2000万円超の部分15%5%

(2)耐震基準に適合しない中古住宅を取得した場合、居住する日までに耐震改修工事を完了するなど一定要件を満たす場合には、住宅ローン控除の対象に

○相続財産に係る譲渡所得の課税の特例

譲渡所得の金額の計算上、取得費に加算する金額を、その譲渡した土地等に対応する相続税相当額とする(改正前:その者が相続した全ての土地等に対応する相続税相当額)
※平成27年1月1日以後に開始する相続又は遺贈により取得した資産を譲渡する場合

○その他

(1)ゴルフ会員権等の譲渡損失を他の所得との損益通算及び雑損控除の適用対象外に
※平成26年4月1日以後に行う資産の譲渡等について適用

(2)企業型確定拠出年金の拠出限度額の引き上げ


現行改正案
他の企業年金がない場合月額5.1万円月額5.5万円
他の企業年金がある場合月額2.55万円月額2.75万円

(3)公的年金等に係る確定申告不要制度
源泉徴収の対象とならない公的年金等の受給者は制度を適用できないこととする
※平成27年分以後の所得税について適用

(4)国民健康保険税の課税限度額


現行改正案
後期高齢者支援金等課税額14万円16万円
介護納付金課税額12万円14万円

資産課税

○医業継続に係る相続税・贈与税の納税猶予等の創設

法人課税

○復興特別法人税の1年前倒し廃止

○交際費等の損金不算入制度・・2年延長

①交際費等の額のうち、飲食のために支出する費用の額の50%を損金の額に算入することとする
※いわゆる社内接待費を含まない

②中小法人の特例について、上記①との選択適用とした上、適用期限を2年延長

○地方法人課税

(1)法人住民税法人税割の税率改正と地方法人税(国税)(仮称)の創設により再配分

(2)法人事業税と地方法人特別税の税率の改正により、法人事業税の再配分の規模を縮小

○生産性向上設備投資促進税制の創設

青色申告法人が、産業競争力強化法の施行の日から平成29年3月31日までの間に、生産等設備を構成する機械装置等で一定のものの取得等をして事業の用に供した場合
取得価額の50%(建物、構築物については25%)の特別償却とその取得価額の4%(建物、構築物については2%)の税額控除(法人税額の20%が上限)との選択適用

○試験研究費の増加額に係る税額控除又は平均売上金額の10%を超える試験研究費に係る税額控除を選択適用できる制度

試験研究費の増加額に係る税額控除を次の措置に改組し、適用期限を3年延長

青色申告法人で 増加試験研究費の額>比較試験研究費の額の5%

かつ、試験研究費の額>基準試験研究費の額  の場合

税額控除:増加試験研究費の額×30%(増加割合が30%未満の場合には、増加割合)

○中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度

次の見直しを行った上、その適用期限を3年延長

中小企業者等が、産業競争力強化法の施行の日から平成29年3月31日までの間に取得等をした特定機械装置等のうち一定のものについては、普通償却限度額と合計で、取得価額までの特別償却(現行30%の特別償却)ができることとする

○中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例

2年延長

○雇用者給与等支給額が増加した場合の税額控除

次の見直しを行った上、適用期限を2年延長

(1)雇用者給与等支給増加割合の要件(現行5%以上)を適用年度の区分に応じ、「2%以上-3%以上-5%以上」に

(2)平均給与等支給額の要件
平均給与等支給額及び比較平均給与等支給額の計算の基礎となる国内雇用者に対する給与等を継続雇用者に対する給与等に見直した上、平均給与等支給額が比較平均給与等支給額を上回ること(現行 以上であること)とする

消費課税

○消費税の簡易課税制度のみなし仕入率


現行改正案
金融業及び保険業第4種:60%第5種:50%
不動産業第5種:50%第6種:40%

※平成27年4月1日以後に開始する課税期間について適用

2013年度税制改正 *2013年3月29日成立

個人所得課税

○所得税の最高税率の見直し

課税所得 4,000 万円超について45%の税率を設ける・・平成27 年分以後の所得税より

○金融・証券税制

1特定公社債及び公募公社債投資信託等の受益権の課税方式
(1)利子所得等・譲渡所得等の課税方式:申告分離課税(所得税 15%、住民税5%)の対象に・・平成 28年1月1日以後に支払を受けるべきもの又は譲渡したものから適用
(2)損益通算の特例の対象:上場株式等の譲渡損失及び配当所得の損益通算の特例の対象に、特定公社債等の利子所得等及び譲渡所得等(申告分離課税を選択したものに限る)を加え、これらの所得間並びに上場株式等の配当所得及び譲渡所得等との損益通算及び3年間の繰越控除を可能に。

2株式等に係る譲渡所得等の分離課税の改組
株式等に係る譲渡所得等の分離課税について、上場株式等に係る譲渡所得等と非上場株式等に係る譲渡所得等を別々の分離課税制度とし、次のような区分とする。
(イ)特定公社債等及び上場株式等に係る譲渡所得等の分離課税
(ロ)一般公社債等及び非上場株式等に係る譲渡所得等の分離課税に改組する。

3非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置
非課税口座の開設可能期間:平成 26年1月1日から平成35年 12月 31日まで
(現行:平成 26年1月1日から平成 28年 12月31日まで)
非課税期間・・非課税管理勘定開設日から、その年の1月1日以後5年を経過する日まで
非課税管理勘定には、上場株式等の取得額の合計額が100万円以下のものを受け入れ

○住宅ローン控除

住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除について適用期限(平成25年 12月 31日)を平成 29年 12月 31日まで4年延長するとともに次の措置を講ずる。

一般の住宅の場合

居住年

控除

期間

住宅借入

金等の

年末残高の

限度額

控除率

各年の

控除

限度額

最大

控除額

平成

26年1月

3月

10年間

2000

万円

1.0%20万円200万円

平成

26年4月

29年3月

10年間

4,000

万円

1.0%40万円400万円

*他にも優良住宅の場合や改修等の特別控除の措置あり

*平成26年4月から平成 29年12月までの欄の金額は、住宅の対価等の消費税等の税率が8%又は 10%である場合の金額であり、それ以外の場合における借入限度額は 2,000万円となる(下の住民税も上段の取扱いとなる)

住民税:所得税において住宅借入金等特別税額控除を控除した残額がある場合、翌年度分の個人住民税において、その残額を、次の控除限度額の範囲内で減額する。

居住年控除限度額
平成 26年1月~3月

所得税の課税総所得金額等

×5%(最高9.75万円)

平成 26年4月~平成 29年3月

所得税の課税総所得金額等

×7%(最高13.65万円)

○その他所得税

○相続財産に係る株式をその発行した非上場会社に譲渡した場合のみなし配当課税の特例の適用対象者の範囲に、相続税法等において相続又は遺贈により非上場株式を取得したものとみなされる個人を加える。
*平成 27年1月1日以後に開始する相続又は遺贈により非上場株式を取得したものとみなされる個人について適用

○社会保険診療報酬の所得計算の特例について、適用対象者からその年の医業及び歯科医業に係る収入金額が 7,000万円を超える者を除外する (法人税についても同様)
*個人は平成 26年分以後の所得税について、法人は平成 25年4月1日以後に開始する事業年度について適用

相続税・贈与税

○相続税

項目現行改正案
基礎控除

5,000 万円+

1,000万円×法定相続人数

3,000 万円+

600 万円×法定相続人数

最高税率最高税率50%・・6段階最高税率55%・・8段階
未成年者控除20 歳までの1年につき6万円20 歳までの1年につき10万円
障害者控除

85歳までの1年につき6万円

(特別障害者の場合12万円)

85歳までの1年につき10万円

(特別障害者の場合20万円)


○相続税

項目現行改正案

暦年贈与の税率構造

最高税率

一定部分

○税率構造は一



○最高税率50%

○「一般」と「直系尊属→20 歳以上の者」とで税率構造異なる

○最高税率55%

相続時精算課税制度

対象者  受贈者

贈与者


20才以上の子

65歳以上


20 歳以上の孫を追加

60歳以上

○小規模宅地等課税価格計算の特例

(1)特定居住用宅地等に係る特例の適用対象面積を 330㎡(現行 240㎡)までに拡充

(2)特定事業用等宅地等及び特定居住用宅地等である場合には、それぞれの適用対象面積まで適用可能とする。
*貸付事業用宅地等を選択する場合は現行どおり調整
*上記2つの改正は平成 27年1月1日以後適用

(3)一棟の二世帯住宅で構造上区分のあるものについて、被相続人及びその親族が各独立部分に居住していた場合には、その親族が相続又は遺贈により取得したその敷地の用に供されていた宅地等のうち、被相続人及びその親族が居住していた部分に対応する部分を特例の対象とする

(4)老人ホームに入所したことにより被相続人の居住の用に供されなくなった家屋の敷地の用に供されていた宅地等は、次の要件が満たされる場合に限り、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていたものとして特例を適用する
イ 被相続人に介護が必要なため入所したものであること
ロ 家屋が貸付け等の用途に供されていないこと
*上記2つの改正は平成 26年1月1日以後適用

○非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度

・経営承継相続人等の要件のうち、非上場会社を経営していた被相続人の親族であることとする要件を撤廃する
・贈与税の納税猶予における贈与者の要件のうち、贈与時において認定会社の役員でないこととする要件について、贈与時においてその会社の代表権を有していないことに改める
・役員である贈与者が、認定会社から給与の支給等を受けた場合であっても、贈与税の納税猶予の取消事由に該当しないこととする
・納税猶予の取消事由に係る雇用確保要件について、経済産業大臣の認定の有効期間(5年間)における常時使用従業員数の平均が、相続開始時又は贈与時における常時使用従業員数の 80%を下回ることとなった場合に緩和する    など
*上記の改正は、所要の経過措置を講じた上、平成 27年1月1日以後適用

○課税の範囲

日本国内に住所を有しない個人で日本国籍を有しないものが、日本国内に住所を有する者から相続若しくは遺贈又は贈与により取得した国外財産を、相続税又は贈与税の課税対象に加える
*平成 25年4月1日以後に相続贈与等により取得する国外財産について適用

○教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税

(1)概要  3 0歳未満の受贈者の教育資金に充てるためにその直系尊属が金銭等を拠出し、金融機関に信託等をした場合には、受贈者 1人につき 1,500万円(学校等以外の者に支払われる金銭については、500万円が限度)までについては、贈与税を課さない

(2)拠出期間:平成 25年4月1日から平成 27年 12月 31日まで

(3)教育資金:文部科学大臣が定める、学校等に支払われる入学金その他の金銭及び学校等以外の者に支払われる金銭のうち一定のもの

(4)申告  受贈者は、教育資金非課税申告書(仮称)を金融機関を経由し、受贈者の納税地の所轄税務署長に提出しなければならない

(5)払出しの確認等  受贈者は、払い出した金銭を教育資金の支払いに充当したことを証する書類を金融機関に提出しなければならない

(6)終了時の残額
①受贈者が 30歳に達した場合・・受贈者が30歳に達した日に贈与があったものとして贈与税を課税する
②受贈者が死亡した場合・・贈与税を課さない

法人課税

○国内設備投資を促進するための税制措置の創設

青色申告法人の平成25年4月1日から平成27年3月 31日までの間に開始する各事業年度(設立事業年度を除く)において取得等をした国内の事業の用に供する生産等設備で、その事業年度終了の日において有するものの取得価額の合計額が次の①及び②の金額を超える場合
①法人の有する減価償却資産につき当期の償却費として損金経理をした金額
②前事業年度において取得等をした国内の事業の用に供する生産等設備の取得価額の合計額の110%相当額

その生産等設備を構成する資産のうち機械装置をその法人の国内にある事業の用に供したときは、その取得価額の 30%の特別償却とその取得価額の3%の税額控除との選択適用ができることとする。ただし、税額控除における控除税額は、当期の法人税額の20%を限度とする(所得税についても同様)
生産等設備:法人の製造業その他の事業の用に直接供される減価償却資産(無形固定資産及び生物を除く)で構成されているものをいう
*本店、寄宿舎等の建物、事務用器具備品、乗用自動車、福利厚生施設等は、対象外

○雇用・労働分配(給与等支給)を拡大するための税制措置の創設

青色申告法人が、平成 25年4月1日から平成 28年3月 31日までの間に開始する各事業年度において国内雇用者に対して給与等を支給する場合において、雇用者給与等支給増加額(雇用者給与等支給額から基準雇用者給与等支給額を控除した金額)の基準雇用者給与等支給額に対する割合が5%以上であるとき(次の①及び②の要件を満たす場合に限る)
①雇用者給与等支給額が前事業年度の雇用者給与等支給額を下回らないこと
②平均給与等支給額が前事業年度の平均給与等支給額を下回らないこと
雇用者給与等支給増加額の 10%の税額控除ができることとする。
*法人税額の 10%(中小企業者等については20%)を限度とする

○試験研究を行った場合の法人税額の特別控除制度(研究開発税制)

試験研究費の総額に係る税額控除、特別試験研究費の額に係る税額控除、繰越税額控除限度超過額に係る税額控除、中小企業技術基盤強化税制及び繰越中小企業者等税額控除限度超過額に係る税額控除について、2年間の時限措置として、控除税額の上限を当期の法人税額の 30%(現行20%)に引き上げる

○雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除制度(雇用促進税制)

控除限度額を増加雇用者数1人当たり 40万円(現行 20万円)に引き上げる

○際費等の損金不算入

定額控除限度額を 800万円(現行 600万円)に引き上げるとともに、定額控除限度額までの金額の損金不算入措置(現行10%)を廃止する

納税環境整備

○延滞税・・平成26年1月1日以後の期間分について適用

特例基準割合が年7.3%に満たない場合には、その年中においては、次の区分よる割合
年14.6%の割合の延滞税:特例基準割合+7.3%
年7.3%の割合の延滞税: 特例基準割合+1% *7.3%が限度

*特例基準割合:各年の前々年の 10月から前年の9月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を 12で除して得た割合として各年の前年の 12月 15日までに財務大臣が告示する割合に、年1%の割合を加算した割合

○利子税・・平成26年1月1日以後の期間分について適用

特例基準割合が年7.3%に満たない場合には、その年中においては、次の区分による割合
下記以外の利子税:特例基準割合
相続税及び贈与税に係る利子税(割合が年7.3%のものを除く)
:利子税の割合×特例基準割合が年7.3%に占める割合

○還付加算金の割合・・平成26年1月1日以後の期間分について適用

特例基準割合が年7.3%に満たない場合には、その年中においては、特例基準割合とする

○国外財産調書制度

対象となる国外財産に国外にある金融機関の営業所等に設けられた口座において管理されている国内有価証券(国内法人等が発行した株式、公社債その他の有価証券をいう。)を加え、国内にある金融機関の営業所等に設けられた口座において管理されている外国有価証券(外国法人等が発行した株式、公社債その他の有価証券をいう。)を除外する
*平成 26年1月1日以後に提出すべき国外財産調書について適用

○個人住民税における公的年金からの特別徴収

市町村が公的年金の支払をする際に徴収する仮特別徴収税額を、年金所得者の前年度分の個人住民税のうち前々年中の公的年金等の所得に対応する所得割額及び均等割額の合算額の2分の1に相当する額とする
*平成 28年 10月以後の特別徴収について適用

2012年度税制改正案

12月10日朝早く(夜遅く?)平成24年度税制改正大綱(案)が閣議決定されました。「基本的な考え方」には税制抜本改革へのつなぎのような位置づけととれる表現があります。それはやむを得ないところもありますが、「抜本改革」とで整合性がとれないことのないように審議を尽くしてほしいと思います。

■個人所得課税

(1)給与所得控除の見直し

①給与所得控除の上限・・給与等の収入金額が 1,500万円を超える場合、245万円が上限

②特定支出控除の見直し ・・職務の遂行に直接必要な弁護士などの資格取得費や職務と関連のある図書の購入費、職場で着用する衣服の衣服費、職務に通常必要な交際費及び職業上の団体の経費(勤務必要経費)等も一定の範囲で対象とし、計算方法も変更。
(注)平成 25年分以後の所得税及び平成 26年度分以後の個人住民税について適用

(2)退職所得課税の見直し

役員等としての勤続年数が5年以下の役員等の「役員退職手当等」について、退職所得控除額を控除した残額の2分の1とする措置を廃止。
(注)平成 25年分以後の所得税、個人住民税は、平成 25年 1月 1日以後に支払われるべき退職手当等について適用

(3)租税特別措置等

○認定長期優良住宅の新築等をした場合の所得税額の特別控除・・税額控除額の上限額を 50万円(現行:100万円)に引き下げた上、その適用期限を2年延長

○特定の居住用財産の買換え及び交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例・・譲渡資産の譲渡対価の要件を 1.5億円(現行:2億円)に引き下げた上、その適用期限を2年延長
(注)平成 24年1月1日以後に行う居住用財産の譲渡について適用

○住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除
低炭素まちづくり促進法(仮称)の制定に伴い、同法に規定する認定省エネルギー建築物(仮称)のうち一定の住宅(「認定住宅」)の新築又は建築後使用されたことのない認定住宅の取得をして居住の用に供した場合(認定長期優良住宅に係る措置と同様の措置)

居住年控除期間

住宅借入金等の

年末残高の限度額

控除率
平成 24年10年間4,000万円1.0%
平成 25年10年間3,000万円1.0%

*その年分の所得税額からを控除しきれない場合は、残額を翌年度分の個人住民税から減額(その年分の所得税の課税総所得金額等の額×100分の5(最高 9.75万円)を限度)

○源泉徴収に係る所得税の納期に関する特例・・7月から 12月までの間に支払った給与等、退職手当等につき徴収した所得税の納期限を翌年1月 20日(現行:翌年1月 10日)に  (注)平成 24年7月1日以後に支払うべき給与等及び退職手当等について適用

■資産課税

(1)固定資産税の見直し

平成24年度から平成26年度までの土地に係る固定資産税の負担調整措置について見直し

(2)直系尊属から住宅取得等資金の
贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置


省エネルギー性・耐震性を備えた

良質な住宅用家屋

左以外の住宅用家屋
平成24年1,500万円1,000万円
平成25年1,200万円700万円
平成26年1,000万円500万円

■法人課税

(1)研究開発税制

試験研究費の増加額に係る税額控除又は平均売上金額の10%を超える試験研究費に係る税額控除を選択適用できる制度の適用期限を2年延長 (所得税についても同様)

(2)中小企業税制

○中小企業投資促進税制について対象範囲を見直し、適用期限を2年延長
(所得税についても同様)

○交際費等の損金不算入制度、中小法人に係る損金算入の特例・・2年延長

○中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例・・2年延長
(所得税についても同様)

(3)特定の資産の買換えの場合等の課税の特例・・

土地等の範囲を面積が300㎡以上で一定のものに限定し、適用期限を3年延長 (所得税についても同様)

(4)その他

適格退職年金制度(平成 24年3月 31日で廃止)に関し、いわゆる閉鎖型の適格退職年金契約のうち、事業主が存在しないもの及び厚生年金保険未適用事業所の事業主が締結しているものについて、現行の適格退職年金契約に係る税制上の措置を継続適用する措置(所得税についても同様)

■国際課税

(1)国外財産調書制度の創設・・

その年の12月31日において価額の合計額が5千万円を超える「国外財産」を有する居住者は、その財産の種類、数量及び価額等を記載した「国外財産調書」を、翌年3月 15日までに、税務署長に提出しなければならないこととする

(2)関連者間の利子を利用した租税回避への対応
(過大支払利子税制の導入)・・

関連者に対する純支払利子等の額>調整所得金額×50% の場合、超える部分の金額は、損金の額に算入しない

■検討事項

○寄附金控除の年末調整対象化

○社会保険診療報酬の所得計算の特例に係る租税特別措置、事業税における医療法人に対する軽減税率の見直し・・平成 25年度税制改正において検討

○山林に係る相続税・贈与税・・課税価格の特例制度や贈与税の納税猶予制度等の必要性について

○非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度・・課税の一層の適正化を図る措置について引き続き検討

○中小企業者に対する法人税率の特例の適用範囲の見直し及び中小企業者に適用される租税特別措置の適用範囲の見直し(会計検査院から意見表示がなされている)・・企業の予測可能性にも留意しつつ、所得金額のみならず、各種指標による中小企業者の定義づけの可能性も含めて、そのあり方を引き続き検討

○個人住民税・・生命保険料控除など政策目的へのインセンティブの色彩が強い控除の在り方について

○固定資産税・・平成27年度の評価替えまでに、公平性、合理性、妥当性等の観点から総合的に検討(不動産取得税についても同様)

○新築住宅等に係る固定資産税の減額措置・・平成26年度税制改正までにあり方を検討

○配偶者控除・・抜本的に見直す方向で検討

○金融証券税制については、平成 26年に上場株式等の配当・譲渡所得等に係る税率が 20%本則税率となることを踏まえ、平成 25年度税制改正において、公社債等に対する課税方式の変更及び損益通算範囲の拡大を検討

○社会保障・税に関わる共通番号制度の導入に伴い税務分野において必要となる対応・・「社会保障・税番号大綱」(平成 23年 6月 30日政府・与党社会保障改革検討本部決定)を踏まえ、「番号法案」の具体化を受けて検討

2011年度改正案 

平成23 年度税制改正案

平成22年12月16日に平成23 年度税制改正案が閣議決定されました。
高所得者、富裕層への増税が強調されていますが、一般的な生活者や中小企業にとっても影響の大きい項目の改正が予定されており、要チェックです。

納税環境整備
(1)税務調査手続
調査手続の透明性と納税者の予見可能性を高める観点・課税庁の納税者に対する説明責任を強化する観点等から、税務調査の事前通知や調査終了時の手続について明確化・法制化を図る。
(2)更正の請求期間の延長
「嘆願」という実務慣行を解消し、納税者が申告税額の減額を求めることができる「更正の請求」を行うことができる期間(現行1年)を5年に延長する。

個人所得課税
(1)給与所得控除の見直し
① 給与所得控除の上限設定・・給与等の収入金額が1,500 万円を超える場合、245 万円が上限に。
② 役員給与等の給与所得控除・・役員給与等の収入金額が2,000 万円を超える場合一定の方式で控除額が減少し、4,000 万円を超える場合は125 万円に。
③ 特定支出控除の見直し・・職務の遂行に直接必要な弁護士などの資格取得費や職務と関連のある図書の購入費、職場で着用する衣服の衣服費、職務に通常必要な交際費及び職業上の団体の経費(勤務必要経費)等も一定の範囲で対象とし、計算方法も変更。
(2)役員退職金の退職所得課税の見直し・・役員等としての勤続年数が5年以下の役員等の「役員退職手当等」について、退職所得控除額を控除した残額の2分の1とする措置を廃止。
(3)成年扶養控除の見直し・・特定成年扶養親族(年齢65 歳以上70 歳未満の人等)がいる場合や特定成年扶養親族以外の成年扶養親族がいるときは合計所得金額が400 万円以下の場合(400万円超の場合には一定の調整)に控除。
(4)金融証券税制
① 上場株式等の配当等及び譲渡所得等に係る10%軽減税率(所得税7%、住民税3%)の適用期限を2 年延長。
② いわゆる「日本版ISA」の 施行日を2 年延長し平成26 年1 月1 日から適用。

(5)国民健康保険税
①国民健康保険税の課税限度額を基礎課税額は51 万円(現行50万円)、後期高齢者支援金等課税額は14 万円(現行13 万円)、介護納付金課税額については12 万円(現行10 万円)に引き上げ。
②所得割額の算定方式を旧ただし書方式に一本化。

資産課税
(1)相続税・贈与税の見直し
① 相続税の課税ベース及び税率構造
イ 相続税の基礎控除・・「3,000万円+600万円×法定相続人数」に引き下げ。
ロ 死亡保険金に係る非課税限度・・限度額計算上の法定相続人の数にカウントされる対象を未成年者、障害者又は相続開始直前に被相続人と生計を一にしていた者に限ることに。
ハ 相続税の税率構造・・区分を見直し、10%~55%に。
②贈与税の税率構造・・相続時精算課税制度の対象とならない贈与につき、直系尊属から贈与を受けた場合とそれ以外に区分し税率を見直し。
③相続時精算課税制度の適用要件・・ 受贈者の範囲に、20 歳以上である孫(現行 推定相続人のみ)を追加し、 贈与者の年齢要件を60 歳以上(現行 65 歳以上)に引き下げ。
④直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置・・住宅の新築等(住宅取得等資金の贈与を受けた翌年3月15 日までに行われるものに限る)に先行して敷地を取得する場合におけるその土地等の取得のための資金も適用対象に。
⑤住宅用家屋の所有権の保存登記若しくは移転登記又は住宅取得資金の貸付け等に係る抵当権の設定登記に対する登録免許税の税率の軽減措置・・適用期限を2年延長。
⑥不動産の譲渡に関する契約書等に係る印紙税の税率の特例措置・・適用期限を2年延長。

法人課税
(1)法人税制
① 法人税の税率を引き下げ、法人の平成23 年4月1日以後に開始する事業年度について適用。
普通法人 30%→25.5%
中小法人の年800 万円以下部分の所得 18%→15%(租特によるもの)
②減価償却資産の定率法の償却率・・定額法の償却率(1/耐用年数)を2.0 倍した数(現行2.5 倍した数)に。(平成23 年4月1日以後に取得したもの)
③ 欠損金の繰越控除・・控除限度額をその事業年度の繰越控除前の所得の金額の100 分の80 相当額に。( 中小法人等については、現行のまま)
また、欠損金の繰越期間を9年(現行7年)に延長。
④ 貸倒引当金・・適用法人を銀行、保険会社その他これらに類する法人及び中小法人等に限定。
⑤法人税の中間納付・・仮決算による中間税額が前事業年度の確定法人税額の12 分の6を超える場合には、仮決算による中間申告書を提出できないことに。
⑥資本金の額が1億円以下の法人に係る次の制度については、100%グループ内の複数の大法人に発行済株式の全部を保有されている法人には適用しないことに。
イ 軽減税率
ロ 特定同族会社の特別税率の不適用
ハ 貸倒引当金の法定繰入率
ニ 交際費等の損金不算入制度における定額控除制度
ホ 欠損金の繰戻しによる還付制度
ヘ欠損金の繰越控除における控除限度額及び貸倒引当金制度の存置
(2)雇用促進税制
① 青色申告法人で公共職業安定所長に雇用促進計画の届出を行ったものが、平成23 年4月1日から平成26 年3月31 日までの間に開始する各事業年度において、事業年度末の従業員のうち雇用保険一般被保険者の数が前事業年度末に比して10%以上、かつ、5人以上(中小企業者等については、2人以上)増加したこと等の公共職業安定所長の確認を受けた場合には、一定の要件の下、法人税額から、「増加した雇用保険一般被保険者の数×20 万円」の金額を控除できる措置を講ずる。ただし、当期の法人税額の10%(中小企業者等については、20%)を限度。(所得税についても同様)
(3)退職年金等積立金に対する法人税の課税の停止措置・・適用期限を3年延長。

消費課税
消費税
① 消費税の免税事業者の要件
イ 個人事業者のその年又は法人のその事業年度につき現行制度において事業者免税点制度の適用を受ける事業者のうち、次に掲げる課税売上高が1千万円を超える事業者については、事業者免税点制度を適用しないことに。
(イ 個人事業者のその年の前年1月1日から6月30 日までの間の課税売上高
(ロ 法人のその事業年度の前事業年度(7月以下のものを除く。)開始の日から6月間の課税売上高
② 課税売上割合が95%以上の場合の全額仕入税額控除・・課税期間の課税売上高が5億円(その課税期間が1年に満たない場合には年換算)以下の事業者に限り適用することに。
③消費税の「仕入税額控除に関する明細書」・・還付申告書への添付を義務付ける。

2010年度改正・・3月24日成立(税制改正関連)

平成22年度税制改正
平成21年12月22日、鳩山政権下初の税制改正案が公表されました。選挙公約と財政とのバランス等で迷走しましたが、「控除から手当へ」や「課税の適正化」など興味深い内容となっています。
(内容が修正されて可決されることもありますので、ご留意ください)

『個人所得課税』
1扶養控除の見直し・・平成23 年分以後の所得税より
○年少扶養親族(年齢16 歳未満扶養親族)に係る扶養控除を廃止
○特定扶養親族(年齢16 歳以上23 歳未満の扶養親族者)のうち、年齢16 歳以上19 歳未満の者に係る扶養控除の上乗せ部分(25 万円)を廃止し、38 万円に

2金融証券税制
○非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置の創設・・平成24 年からの上場株式等に係る税率の20%本則税率化にあわせて導入
「非課税口座内上場株式等」に係る配当等でその非課税口座の開設年の1月1日から10 年内に支払を受けるべきものについては、所得税及び個人住民税は非課税
*非課税口座・・平成24 年から平成26 年まで1人につき1年1口座(取得対価の額の合計額が100 万円まで)設定可
○生命保険料控除・・平成24 年1月1日以後に締結した「新契約」より
介護(費用)保障又は医療(費用)保障に係る保険料について、介護医療保険料控除(限度:所得税4万円、住民税2.8万円)の所得控除新設

3租税特別措置等
〔国税〕
○住宅を売却した場合の各特例のうち以下のものは適用期限を2年延長(一部に要件の見直しあり)
・住宅の長期譲渡所得の課税の特例
・住宅の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除等
・特定住宅の譲渡損失の繰越控除等
○非課税措置・・子ども手当(仮称)、高校の実質無償化、父子家庭に支給されることとなる児童扶養手当
○確定拠出年金制度・・企業型確定拠出年金に導入される個人拠出(いわゆるマッチング拠出)の掛金は全額所得控除(所要の法律改正が前提)
○個人住民税の公的年金からの特別徴収制度の対象とならない65歳未満の公的年金等に係る所得を有する給与所得者について、公的年金等に係る所得に係る所得割額を給与から特別徴収を可能に
○国民健康保険税の基礎課税額に係る課税限度額を50 万円(現行47万円)、後期高齢者支援金等課税額に係る課税限度額を13 万円(現行12 万円)に引き上げ

『法人課税』
1特殊支配同族会社における業務主宰役員給与の損金不算入制度・・成22 年4 月1 日以後に終了する事業年度から廃止
*個人事業主との課税の不均衡を是正し、「二重控除」の問題を解消するための抜本的措置を平成23 年度税制改正で講ずる

2設備投資等
・情報基盤強化税制を適用期限の到来をもって廃止(所得税についても同様)
・中小企業投資促進税制の適用期限を2年延長(所得税も同様)
・中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例の適用期限を2年延長(所得税も同様)
・中小企業等基盤強化税制を拡充し、資本金の額等が1億円以下の法人による一定の情報基盤強化設備等の取得に係る措置を追加(所得税も同様)
・試験研究費の増加額に係る増加型又は高水準型を選択適用できる制度の適用期限を2年延長(所得税同様)
・交際費等の損金不算入制度、中小法人に係る損金算入の特例の適用期限を2年延長
・使途秘匿金の課税の特例の適用期限を2年延長
・中小企業者等以外の法人の欠損金の繰戻還付の不適用措置の適用期限を2年延長


『資産課税』

1住宅関係
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置
イ 非課税限度額(現行 500 万円)を引き上げ
(イ) 平成22 年中に住宅取得等資金の贈与を受けた者 1,500 万円
(ロ) 平成23 年中に住宅取得等資金の贈与を受けた者 1,000 万円
ロ 適用対象となる者を贈与を受けた年の合計所得金額が2,000 万円以下の者に限定
ハ 適用期限:平成23 年12 月31 日(現行 平成22 年12 月31 日)まで
住宅取得等資金の贈与に係る相続時精算課税制度の・・1,000 万円の特別控除の上乗せ(現行)の特例を廃止し、年齢要件の特例の適用期限を2年延長

2小規模宅地の特例・・平成22 年4月1日以後の相続又は遺贈より
イ 相続人等が相続税の申告期限まで事業又は居住を継続しない宅地等(現行200 ㎡まで50%減額)は適用対象除外に
ロ 一の宅地等について共同相続があった場合には、取得した者ごとに適用要件を判定
ハ 一棟の建物の敷地の用に供されていた宅地等のうちに特定居住用宅地等の要件に該当する部分とそれ以外の部分がある場合には、部分ごとに按分して軽減割合を計算
ニ 特定居住用宅地等は、主として居住の用に供されていた一の宅地
等に限られることを明確化

3新築住宅に係る固定資産税の減額措置・・今後1年間で優良な住宅ストック重視の観点から見直しの検討を条件に、適用期限を2年延長

4定期金に関する権利の相続税及び贈与税の評価
イ 給付事由が発生している定期金に関する権利の評価額・・次のいずれか多い金額
(イ) 解約返戻金相当額
(ロ) 定期金に代えて一時金の給付を受けることができる場合には当該一時金相当額
(ハ) 予定利率等を基に算出した金額

ロ 給付事由が発生していない定期金に関する権利の評価額・・原則として、解約返戻金相当額


『消費課税』

消費税の仕入控除税額・・調整対象固定資産の取得に係る仕入控除税額が過大であった場合に減額する調整措置の対象となるよう見直し

イ 事業者免税点制度の適用の見直し
次の期間(簡易課税制度の適用を受ける課税期間を除く)中に、調整対象固定資産を取得した場合には、当該取得があった課税期間を含む3年間は、引き続き事業者免税点制度を適用しない
(イ) 課税事業者を選択することにより、事業者免税点制度の適用を受けないこととした事業者の当該選択の強制適用期間(2年間)
(ロ) 資本金1,000 万円以上の新設法人につき、事業者免税点制度を適用しないこととされる設立当初の期間(2年間)

2009年度改正

【国税関係】
住宅・土地税制
<住宅税制>
 1 住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除
(1)平成21年から平成25年までの間に居住の用に供した場合
控除期間:10年間 対象ローン残高限度額:5,000万円~2,000万円 控除率:1.0%
(2)平成21年から平成25年までの間に認定長期優良住宅に該当する家屋の新築又は建築後使用されたことのない認定長期優良住宅の取得をして居住の用に供した場合
控除期間 10年間 対象ローン残高限度額 5,000万円~3,000万円 控除率1.2%~1.0%
2 長期優良住宅の新築等をした場合の所得税額の特別控除の創設
認定長期優良住宅の新築又は新築の認定長期優良住宅の取得をして、居住の用に供した場合には、一定の金額をその年分の所得税額から控除する
期間:関連法律の施行日から平成23年12月31日までの間に居住の用に供した場合
控除額:認定長期優良住宅の新築等に係る標準的な性能強化費用相当額(1,000万円を限度とする)の10%
*控除しきれない金額がある場合には、翌年分の所得税額から控除
<土地税制>
土地等の長期譲渡所得の1,000万円特別控除制度の創設  *法人も同様の措置
個人の土地等の譲渡に係る譲渡所得の金額から1,000万円を控除する
・平成21年1月1日から平成22年12月31日までの取得
・国内にある土地等で、その年1月1日において所有期間が5年を超えるもの

中小企業対策
1 中小企業に対する軽減税率の時限的引下げ
中小法人等の所得の金額のうち年800万円以下の金額に対する法人税の軽減税率を22%から18%に引き下げる
平成21年4月1日から平成23年3月31日までの間に終了する各事業年度の所得
2 中小企業の欠損金の繰戻し還付の復活
中小法人等について、欠損金の繰戻しによる還付制度の適用ができることとする
*平成21年2月1日以後に終了する各事業年度において生じた欠損金額

相続税制
1 取引相場のない株式等に係る相続税の納税猶予制度
経営承継相続人が、非上場会社を経営していた被相続人から相続等によりその会社の株式等を取得し、経営をしていく場合に、経営承継相続人が納付すべき相続税額のうち、相続等により取得した議決権株式等(注)に係る課税価格の80%に対応する相続税の納税を猶予することとする

(注)相続開始前から保有していた議決権株式等を含めて、発行済議決権株式等の総数等の3分の2に達するまでの部分
2 取引相場のない株式等に係る贈与税の納税猶予制度(創設)
(1)後継者が、経済産業大臣の認定を受ける非上場会社を経営していた親族から、贈与によりその保有株式等の全部(贈与前から後継者が保有していたものを含めて、発行済議決権株式等の総数等の3分の2に達するまでの部分「猶予対象株式等」)を取得し、経営をしていく場合には、その猶予対象株式等の贈与に係る贈与税の全額の納税を猶予することとする

金融・証券税制
1 上場株式等の配当所得及び譲渡所得等に対する税率の特例の見直し
平成21年1月1日から平成23年12月31日までの間の上場株式等の配当所得及び譲渡所得等に対する税率を10%軽減税率(所得税7%、住民税3%)とする
2 上場株式等の配当等に係る源泉徴収税率等の特例の延長
(1)上場株式等の配当等に係る源泉徴収税率(特別徴収税率)に対する10%軽減税率(所得税7%、住民税3%)の特例を1年延長する
【地方税関係】
1 個人住民税における住宅ローン控除制度の創設等
所得税においてその年分の住宅借入金等特別税額控除額から所得税額を控除した残額がある場合、残額を翌年度分の個人住民税から減額する

2008年度

研究開発税制・情報基盤強化税制
1 研究開発税制について、次のいずれかを選択することができる。(当期の法人税額の10%相当額が限度)
○試験研究費の額が比較試験研究費の額を超え、かつ、基準試験研究費の額を超える場合には、試験研究費の額が比較試験研究費の額を超える部分の金額の5%を税額控除できる。
○試験研究費の額が平均売上金額の10%相当額を超える場合には、その超える部分の金額に税額控除率を乗じた金額を税額控除できる。

2情報基盤強化税制について、資本金が1億円以下の法人等について、取得価額の合計額の最低限度を300万円から70万円に引き下げる。

中小企業・ベンチャー支援
特定中小会社が発行した株式を取得した場合の課税の特例
(1)個人が一定の特定中小会社に出資した金額について1,000万円を限度に寄付金控除を適用する。
(2)特定中小会社が発行した株式にかかる譲渡所得等の2分の1課税の特例は廃止する。(経過措置あり)


住宅の省エネ改修促進税制の創設
(1)住宅の省エネ改修工事等に係る住宅借入金等の所得税額の特別控除の創設
居住の用に供する家屋について一定の省エネ改修工事を含む増改築等(以下「省エネ改修工事等」という。)を行った場合において、その省エネ改修工事等に充てるために借り入れた住宅借入金等の年末残高の1、000万円以下の部分の一定割合を所得税の額から控除する。
(平成20年4月1日から平成20年12月31日までの間に居住の用に供したとき)
控除期間は5年
控除率については、次のとおりとする。
イ 特定の省エネ改修工事に係る工事費用(200万円を限度)に相当する住宅借入金等の
年末残高‥・2%
ロ イ以外の住宅借入金等の年末残高‥・1%
(2)住宅の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除について、
現行制度において適用対象となっている大規模の修繕又は模様替等に加え、大規模の
修繕又は模様替等に至らない一定の省エネ改修工事を適用対象に追加する。

金融・証券税制
1 上場株式等の譲渡所得等に対する課税
(1)上場株式等に係る譲渡所得等の10%軽減税率の廃止
上場株式等の譲渡所得等に係る税率については、平成20年12月31日をもって10%軽
減税率(所得税7%、住民税3%)を廃止し、平成21年1月1日以後は20%(所得税
15%、住民税5%)とする。
(2)特例措置
平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間(2年間)、その年分の上場株式
等に係る譲渡所得等の金額のうち500万円以下の部分については、10%(所得税7%、
住民税3%)の軽減税率とする。

2 上場株式等の配当所得に対する課税
(1)上場株式等に係る配当等の10%軽減税率の廃止
上場株式等の配当等に係る源泉徴収税率(特別徴収税率)については、平成20年12月31日をもって10%軽減税率(所得税7%、住民税3%)を廃止し、平成21年1月1日以後は20%(所得税15%、住民税5%)とする。
(2)源泉徴収税率の特例措置
平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間(2年間)に支払を受けるべき上場株式等の配当等(大口株主が支払を受けるものを除く。以下同じ。)に対する源泉徴収税率(特別徴収税率)は10%(所得税7%、住民税3%)の軽減税率とする。この場合において、上場株式等の配当等(年間の支払金額が1万円以下の銘柄に係るものを除く。)の金額の合計額が100万円を超える者については、申告不要の特例は適用しない。
(3)上場株式等の配当所得の申告分離選択課税の創設
平成21年1月1日以後に居住者等が支払を受けるべき上場株式等の配当所得については、当該居住者等は20%(所得税15%、住民税5%)の税率による申告分離課税を選択できることとする。
(4)申告分離選択課税の税率の特例措置
平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間(2年間)、その年分に申告分離課税を選択した上場株式等の配当所得の金額のうち100万円以下の部分については、10%(所得税7%、住民税3%)の軽減税率を適用する。

3上場株式等の譲渡損失と上場株式等の配当所得との間の損益通算の特例の創設
その年分の上場株式等の譲渡所得等の金額の計算上生じた損失の金額があるとき又はその年の前年以前3年内の各年に生じた上場株式等の譲渡損失の金額(前年以前に既に控除したものを除く。)があるときは、これらの損失の金額を上場株式等の配当所得の金額(申告分離課税を選択したものに限る。)から控除するものとする。
(注)上記の改正は、平成21年分以後の所得税及び平成22年度分以後の住民税について適用する。

地域間の財政力格差の縮小
消費税を含む税体系の抜本的改革が行われるまでの間の暫定措置として、平成20年10月1日以降に開始する事業年度から、概ね2.6兆円の法人事業税を分離し(すなわち、法人事業税の所得割と収入割の税率を引き下げて)、地方法人特別税を創設するとともに、その収入額を人口及び従業者数を基準として都道府県に譲与する地方法人特別譲与税を創設する。

個人住民税における公的年金からの特別徴収制度の導入
年金所得者の公的年金等に係る個人住民税について、公的年金から特別徴収する制度を創設する。